2018/05/06

全てを諦めてレッツノートを買った話。


ノートPCを新調しました、という話なんだけどちょっと後ろ向きなタイトル。

表題の通り、レッツノートを買いました。モデルはCF-RZ6LFMQR。要するにRZ6の黒。

新調、の名の通りリプレース元はEarly 2015のMacBookです。リンク先記事はMacBook買おうか悩んでる頃のだけど結局買ってたんですよね。GPD WINネタに傾倒する前のブログ放置してた時期だったんで触れてないですが。

さてこのRZ6、なんか色々葛藤してたらいつの間にか買ってた感じなので、届いたブツを眺めながら葛藤をつらつらと書いていきます。半分はRZ6の話じゃない日記帳です。


葛藤たち


RZ6購入に至るまでの、頭の中をグルグルしていた女々しい葛藤たち。キモいよ!

UMPCだけで生きられない現実



自他ともに認めるではないですが自称UMPC大好きな自分としてはモバイルコンピューティングの全てをUMPCでまかないたいと思っているわけです。

実際、自作派=デスクトップユーザーである自分はモバイルについてはある程度性能面で妥協できるわけで、UMPCで大抵のことは事足ります。

が、「外出時たまたまPCが必要になったとき」に常に持ち歩けるUMPCは便利なものの、年に1回あるかないかの「当初から外出先でPCを使う用事があるとき」にはどうしても心許ない。
(※自分は会社貸与のノートPCがあるため、私物PCが必要なこういう用事は稀)

そのような、半日PCでメモを取ったりコードを書いたりするようなとき、どうしてもキーボードに妥協しきれないんですよね。CPU性能とか、画面サイズではなくキーボード。

経験上、キーボードにおけるBetter / Bestの境界がGPD PocketとVAIO type Pの間にあって、GPD PocketのキーボードははUMPCとして素晴らしいけれどもMacBookを手放すまでは踏み切れず、一方VAIO type Pを使っていたときはこれだけで全てをこなしていました。
(※幅で言うとtype PよりInterlink MP-XP741もメインで使えてました)

つまりtype P最高っていう話なんですけど、でもこれってUMPCか?という疑問があって、これは宗教的な論争ですけど個人的にはサブノート・ミニノートだと思うんですよ。つまり結局のところ自分はUMPC大好きとか言っているけれど、UMPCだけでは生きられない

また、現代にtype Pは存在しないわけです。VAIO株式会社にはとても期待していたけれども、今や方向性を全く違えてしまいtype P後継となるフォームファクターは望むべくもありません(VAIOをdisっているわけではなく、自分がVAIOのターゲットユーザーでなくなってしまったの意)。

キーボードの閾値がtype P(幅245mm)やXP741(225mm)周辺にあるとして、UMPCと言い張れるPCも存在しないとなると、(UMPC好き的には)大きすぎてノーマークだったレッツノートのRZ6(250mm)が突然選択肢に入ってきました。

タブレットに迷走して悟る



また、GPD WINが出てくるまでUMPCという概念は完璧に死んでたので、前述のスイートスポットにはまるフォームファクターをタブレット+キーボードの組み合わせに求めてました。
(というかネットブックの消滅以降UMPCどころかサブノートすらジャンルとして死んでましたし)

で、完全にアホなんですがたくさん買いました。ICONIA W510Dに始まり、ThinkPad 8を買ってキーボードを組み合わせ、あと記事にしてなかった気がしますがほぼVAIO type PサイズのT90 Chiを「これだ!」と思って買い増し、最後には後述のiPad miniに味をしめて同サイズのMi Pad 2にキーボード付けてます。

加えてPCですら無いですがiPad mini 2にキーボードつけてはしゃいだりキーボード付きのGalaxy Tab SC-03G買ったりしてます。

でも結局ほとんど全部売っちゃいました。残っているのはAndroidタブレット枠のSC-03Gとこの中で最後に買ったMi Pad 2くらいです(別途タブレットとしてiPad mini 4をキーボードなしで使用中)。

以下の点のどれかに引っかかってしまうせいで、どうしてもタブレットはタブレットであってUMPCでもサブノートでもなかったんですよね。
  • キーボードで本体を保持しないタイプは自立できず膝の上で使えない
  • キーボードで本体を保持するタイプは保持のためにキーボード部が重い
  • 大抵の場合ポインティングデバイスが付いておらずタッチパネル依存
最後が特に辛かった。T90 ChiとMi Pad 2+キーボードは本体を保持しつつもかなり軽量で非常にイイ線をいっていたんですが、トラックパッドが無いことにどうしても慣れることができませんでした。

こんな簡単なことを悟るのに片手で足りない数のタブレットを買ってるからアホなんですが。

そもそもレッツノートが好きじゃなかった



こうして選択肢の袋小路に追い込まれていった結果(※)、レッツノートRZ6だけが残りました(※価格.comでPCの幅順でソートした結果ともいう)。

しかし前述のサイズもさることながら、自分はレッツノート嫌いだったのでノーマークだったんですよね。

レッツノートって完全に仕事特化PCで、オタク的にワクワクする要素が無いじゃないですか。会社でもエンジニア・デザイナーはMac、営業・企画はレッツノートみたいな棲み分けになっていて、エンジニアの自分はレッツ側の人間じゃないという感覚があったのです。

具体的には、
  • ボンネット構造が有用なのはわかるけど見た目はダサい
  • VGA必要なのはわかるけどモダンじゃなくて青くて目立つしダサい
  • あの円形のトラックパッドも便利かもしれないがやっぱりダサい
  • バッテリー駆動時間重視はわかるけど(R9とかのイメージで)デブすぎてダサい
  • 中二病的には黒がないのは受け入れられない、安っぽい銀色はダサい
  • パワポ作り的には良いのかもしれないが4:3しかもXGA液晶はショボいしダサい
といった個人的嗜好と偏見のオンパレードです。レッツノートユーザーの方ごめんなさい。

それにさ、仕事上の必要性っていうけど、今やプロジェクターだってHDMIで出せるしパワポだって16:9で作るじゃないですか。そうじゃない職場もあることはわかるけど、そういう職場と折り合いをつけるためのスペック自体が好きになれない。

製品としてはメチャクチャ優秀なのはわかるんですよ。だからレッツノートがダメだと思ったことは一度もなくて、ただただ合わないという印象でした。

そういうわけでレッツノートはアウトオブ眼中だったんですが、上述の経緯で視界に入ってしまったとき、現実はだいぶ異なっているという無知に気づきました。

少なくとも今回存在を認知したRZ6においては、
  • ボンネット構造は相当薄くなっていて別にダサくない
  • VGAポートは黒くなってて目立ってない(妥協)
  • トラックパッドがなぜか円形じゃないので違和感がない
  • フツーのノートPCレベルで薄いのでデブじゃない
  • なんと黒がある
  • とっくに4:3の時代は終わっているどころか16:10のWUXGAというベストサイズ
となんだか劇的に進化していました。無知って怖い。

元はと言えば一人で悶々としていただけで、そもそも現在MacBookを持っているわけですし、別にPCを買わなきゃいけない理由はないんですが、黒いRZ6の画像を見ていたら・・・なんだかこう・・・欲しくなってきてしまった

ただ散々キーボードについてあーだこーだ言っておいて、レッツノート最大の障壁がキーボードで、USキーボードが選べないんですよね。

訓練を積んだ結果(※)JIS配列でも戦えるんですが、せめてカナ無しにしたい。しかしRZ6は黒だけカナ無しが選べないという謎仕様で撃沈。
(※数年間JIS配列の会社貸与PCを持たされ、自宅ではUS配列という二重生活を続けたため。現在は会社貸与PCもUS配列に交換済み)

USキーボードが選べたら多分5秒で買ってたんですが・・・買うまでに数日かかってしまいました。結局衝動買いしとるやんけ!


というわけで



UMPC大好きだとかレッツノート嫌いだとか喚いていた僕は、理念とか理想といったものの全てを諦めた結果悟りを開き、目の前にはレッツノートRZ6があった。

前述の通りモデルはCF-RZ6LFMQRというもので、ブラック・Core i5・8GB・256GB・LTEの2018春の店頭モデル。2018春モデルと言いつつ基本的には2016年秋に出たモデルと中身はほぼ変わっていません。

すぐ新モデルが出て消沈しそうなので、出てしばらく経った製品を買うことはあまりしないのだけど、RZ6で使われているYプロセッサは2018年後半まで更新されないので早くとも2018年秋、場合によっては2019年春までRZ7は出ないだろうし、出たとしてもクアッドコアまではいかないだろうから大して性能も上がらないでしょう。このへんはIntelの停滞に助けられています。

一方で、前任者のMacBookと比べるとCore M-5Y31がCore i5-7Y54になったくらいで、メモリがLPDDR3 8GB、SSDが256GBなのは変わっていない。むしろSSDはMacBookがPCIeだったのがRZ6ではSATAになったので劣化すらしている。ここはなぜSATAになってしまったのか・・・発熱?

CPUについても、i5と言ったところで所詮Core m5のブランディング変更でしかなくYプロセッサなので事実上Core mです。MacBookのM-5Y31はベースクロック900MHzのところcTDP-up採用で1.1GHzだったので、1.2GHzのi5-7Y54との差は僅かしかない。このあたりは、Intelやメモリ・SSDの停滞によって残念なことになっている・・・

もちろん、Core m3ではなくi5であるメリットとして、TurboBoost最大周波数はMacBookの2.4GHzから大幅アップして3.2GHzもあるので、細やかなレスポンスは向上しているはず。

MacBookを買ってから3年経ってこの程度・・・というのは残念ですが、RZ6はそもそも1年半前に出た製品で、MacBookは発売直後に買っていて実際のインターバルは1年半しか無いのだから仕方ない。


というわけでモノ自体は1年半前の製品とほぼ同一、フォームファクターとしてはMacBookより更に前の2014年10月に出たCF-RZ4から変わっていないのだから開封の儀をするような真新しさはありません。あー、このカナ刻印削れねーかなー

が、やはり驚くのはその軽さ。箱から出したときはバッテリーが付いてないのでモックか?というような軽さですし、バッテリーを装着してもなお軽い。公称780gは伊達じゃない。1kg切っているMacBookと比べて140g程度の差しかありませんが、数値差以上に軽く感じる。ほぼアルミ板にしては重く感じるMacBookと、メカメカしい割に軽く感じるレッツノートの違いでしょうか?


ポート類の多さがメカメカしさの源泉という感じ。RZ5まではVGAポートが青かったらしく、RZ6から黒くなったのは素晴らしい。要らないけど。

充電もコンサバにUSB-Cでなく普通のプラグですが、結局ノートPCを不安なく充電できるUSBマルチポート充電器なんてほとんどなく、MacBookでも結局普通にACアダプタを使っていたわけで、これだけポートが豊富なら充電は普通のプラグで全然問題ないですね。

(VGAの青は受け入れがたいのにUSBの青は受け入れられるのはなんでなんでしょう。USBの青は高速の証だからですかね?)

また、RZ6からHDMIが2.0になっており、4K/60p出力が可能です。DP・USB-Cが無いだけに、HDMIでちゃんと4K扱えるのは大事ですね。4Kディスプレイユーザなので嬉しい。

USB3.0も3つ、ギガビットのLANポートもあってSDカードリーダーも付いてと、これなら変換アダプタやハブが必要になる場面は皆無ですね。このあたりはMacとレッツノートで設計思想が真逆な部分ですが、自分はメカメカしてる方が好きです。

伝わるように撮れないんで写真はないですが、ディスプレイの発色はイマイチ。タッチパネル液晶にアンチグレアシートが最初から貼ってあるので仕方ないのかもしれませんが。個人的には色温度低めなのもマイナス。このあたりはやはりレッツノートの領分ではありませんね。ただ、解像度自体は1920x1200あるのでppi的にも縦横比的にもバッチリです。


で、早速(買って数日後に)バラしてしまった。といっても、背面のネジを外すだけで簡単に開けられるのでどうということはありません。ネジが17箇所もあるのにはビビりましたが。

店頭モデルはブラック=LTE付き、という棲み分けなのでLTEモデルです。真ん中のファンの下に写っているのがLTEのM.2カードで、Sierra WirelessのEM7430でした。最大300Mbpsのかなりいいやつ。

iPad mini 4に刺さっていたドコモSIMをぶっ刺してみましたが素晴らしい。スマホと同じように、LTE接続を確立したままWiFiが入っていたらWiFiで通信、そうでなければLTEで通信できるのでテザリングよりはるかに快適です。

左下のSSDはサムスンの何か(適当)。M.2 2280かつSATA接続のもので、本体側に2242や2260のネジ穴が無いので2280専用です。刺して閉じてしまえば押さえつけられるので2242でも入らないことはないですが・・・w

意外なことに、SSDのM.2スロットはB KeyでなくM Keyだったので、PCIeなSSDも物理的には刺さりました。が、残念ながらUEFIの時点で認識されず。PCIeの信号線が来てないかもしれません。

といっても刺したのが余っていたAHCI版のSM951とかいう過渡期のニッチ製品で、しかもPCに刺したこと自体久しぶりで実は死んでたなんてことが無いとも言えないので確実にPCIe SSDがNGかどうかはわかりません。しかしながらNVMeのSSDはさすがに余らせていないのですぐには確かめられず。

まあ、冷やせる配置にも見えないので仮に使えたとしても最近の高発熱なNVMe SSDを使うのは難しそうです。使いたいけど。


タブレット


そういえば、RZ6はディスプレイが360度回転するので2in1タブレットとしても使えます。

個人的には、キーボードがむき出しになる360度回転型2in1は邪道だと思うんですが、あくまでノートPCとして買っているのでそこは不問。ノートPCとしての形状を崩さないことを優先にした形態なんでしょうし。

ただ、使ってみると案外イケていて、10.1型というサイズ・16:10の縦横比・780gの軽さ・Windows 10のUI全てがプラスに働いてかなりちゃんとタブレットとして使えます。

キーボードとは別にディスプレイ側にWindowsボタン、側面にボリュームボタンが付いているなど、この辺はよく考えられているなあという印象。

タブレットとしても利便性が高そうなこと、一方でやはりキーボードむき出しは(反応しないようにできるとはいえ)カッコ悪いので、純正のキーボードカバーを注文しました。まだ届いてないけど。

むしろこのような純正カバーがあるのを知らなかったです。360度回転タイプの弱点対策としてはやや力技ですけどアリですね。


オチはない


レッツノートCF-RZ6を買ったという話を買うまでの話を中心にぐだぐだと書きました。

文字に起こすとややテンションが低いですが、RZ6は欠点の少ない、非常に完成度の高い製品という印象です。これ単体でPCを要するあらゆる作業がカバーできるので、今後頼もしい存在になっていってくれると思います。

次はosx86だな。

2 件のコメント:

  1. ためになる記事でした。このPCはチャラ男ではないということですね。

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  2. 「以下の点のどれかに引っかかってしまうせいで、どうしてもタブレットはタブレットであってUMPCでもサブノートでもなかったんですよね。
    キーボードで本体を保持しないタイプは自立できず膝の上で使えない
    キーボードで本体を保持するタイプは保持のためにキーボード部が重い
    大抵の場合ポインティングデバイスが付いておらずタッチパネル依存」
    アメリカでいうBlack Lives Matterに因んで、Form Factors Matterと言いましょう。スペックはすべてではありません。

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