2020年はHackintosh界隈にとって重大な1年でした。言うまでもなくApple Siliconへの移行が発表されたことです。
Hackintoshは、Macがx86アーキテクチャであることを前提に成り立っているため、ARMのApple Siliconへの移行はHackintoshの終焉を意味します。遅かれ早かれ、新しいmacOSではIntel Macはサポートされなくなり、すなわちHackintoshで最新のmacOSを動かすことはできなくなります。
では、具体的にmacOSでIntelサポートが打ち切られ、Hackintoshを使い続けることができなくなるのはいつになるでしょうか?
セキュリティアップデートの終了 = サポート終了と捉え、PowerPC → Intel移行時の推移から推測してみましょう。
結論から言うと、早ければ2025年、遅くとも2027年にHackintoshは使えなくなると考えています。
PowerPC to Intel
PowerPC → Intel Macへの移行は下記の2点が今回とは異なることに留意する必要があります。
- 移行が凄まじい速さ(約半年)で完了したこと
- OSのメジャーバージョンアップが約2年に1回(現在は毎年)だったこと
これらを踏まえて、移行の時系列は以下のような感じになっていました。
- 2005/04 10.4 Tigerリリース
- 2005/10 最後のPowerPC Macが発売
- 2006/01 最初のIntel Macが発売(10.4プリインストール)
- 2006/08 Intel Mac移行完了(最後のPowerPC Macが終売)
- 2007/10 10.5 Leopardリリース(最後のPowerPC対応Mac OS X)
- 2009/08 10.6 Snow Leopardリリース(最初のPowerPC非対応Mac OS X)
- 2009/09 10.4 Tigerサポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2011/06 10.5 Leopardサポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2011/07 10.7 Lionリリース
ポイントは、
- 最後のPowerPC Macが終売した次に出た10.5 LeopardまではPowerPC対応
- 最後のPowerPC Macが終売した3年後に出た10.6 Snow LeopardではPowerPC非対応
- 10.5 Leopardはリリース4年後の年(2個後の10.7 Lionリリース時点)でサポート終了
あたりです。
3点目については、現在では毎年OSのバージョンアップがあるため、直近3バージョンがサポートされており、リリース3年後にサポート終了となるのが慣例になっています。
2025年サポート終了パターン
さて、過去の事例を踏まえるとIntel Macのサポート終了はいつになるでしょうか。まず、Apple公式リリースによれば、
Appleでは、Appleシリコンを搭載した最初のMacを今年末までに出荷し、約2年間で移行を完了する予定です。とApple Siliconへの移行期間は約2年と発表されており、Intel Macは2022年まで販売されていると考えて良いでしょう(性能的に、おそらくMac Proが最後)。
というわけでここまでは描けます。
- 2020/08 現時点で最後のIntel Macが発売(iMac)
- 2020/11 macOS 11 Big Surリリース
- 2020/11 最初のApple Silicon Macが発売(macOS 11プリインストール)
- 2021/xx macOS 12リリース
- 2022/xx Apple Silicon移行完了(最後のIntel Macが終売)
サポートの期限をバージョン数基準で考えるか、年数基準で考えるかで予測が変わってくるのので、2パターン考えてみました。
まずは、「最後のIntel Macが終売した次に出るmacOSが最後のIntel対応」と考えると、
- 2022年 macOS 13リリース(最後のIntel対応macOS)
- 2023年 macOS 11 Big Surサポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2023年 macOS 14リリース(最初のIntel非対応macOS)
- 2024年 macOS 12サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2024年 macOS 15リリース
- 2025年 macOS 13サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2025年 macOS 16リリース
と考えられます。
つまり、2022年に出ると思われるmacOS 13のサポートが切れる2025年で実質的にHackintoshが終了するというわけです。
また、最新OSという観点では2023年には早くもアップグレードできなくなってしまいます。
2027年サポート終了パターン
一方で、2022年まで売ることになるIntel Macのサポートが僅か3年で打ち切られるか?というと、さすがにそれは無いんじゃないかとも思います。
性能面を考えるとMac Proが最後まで(2022年まで)売られるIntel Macになる可能性が高く、60万円からのパソコンが買って3年でセキュリティアップデートすらされなくなるのはいくらAppleでもやらない気はします。となると、Snow Leopardの例から「最後のIntel Macが終売した3年後に出るmacOSではIntel非対応」と考えると、
- 2022年 macOS 13リリース
- 2023年 macOS 11 Big Surサポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2023年 macOS 14リリース
- 2024年 macOS 12サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2024年 macOS 15リリース(最後のIntel対応macOS)
- 2025年 macOS 13サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2025年 macOS 16リリース(最初のIntel非対応macOS)
- 2026年 macOS 14サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2026年 macOS 17リリース
- 2027年 macOS 15サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2027年 macOS 18リリース
ということで、2バージョンずれて2024年に出ると思われるmacOS 15のサポートが切れる2027年までHackintoshが使えるパターンもあるかも?と考えています。
2006年8月に終売したPowerMac G5等は約5年後のOS X LionリリースをもってOSサポート終了となったため、こちらの方が現実的にも思えます。
余談&次回予告:最後のIntel Macはいつ出る?
セキュリティアップデートの観点では終売からのサポート期間の方が重要だと考えているため、今回は深く考えていませんが、最後のIntel Macはいつ発売されるのでしょうか。
先程の公式リリースでは、
Appleは今後も引き続き、IntelベースのMac向けmacOSの新バージョンのサポートとリリースを行っていきます。また、Intelベースの魅力的な新しいMacも開発中です。とあるので、Intel Mac自体はもうしばらく新型が出るとは考えられます。
ただ、このリリースはApple Silicon移行発表時の2020年6月のものなので、一応8月に出たComet Lake iMacが最後のIntel Macだとしても辻褄自体は合ってしまいます。
つまり、これから新しいIntel Macはもう出ない、というパターンです。
個人的にも、IntelのTiger LakeやRocket Lakeを搭載したMacを出してしまうと、Apple Siliconの「Intelの◯倍高速」アピールが薄れてしまうので、現状の枯れきったIntel Macを放置するんじゃないかと疑っています。
噂ではMac Proはもう一度Intel CPUでのアップデートが予定されているようなので、もしかすると次期Mac Proが最後のIntel Macになるかもしれません。
MacBookPro 16インチ、iMacは2021年のリソースで現実的に製造できるM1の拡張版で十分に性能が賄えると考えられ、Intel CPUで更新する必要性が薄いためコア数の多いMac Proのみ今年はIntelで繋ぐということは十分に考えられます。
多くの人にとってMac Proは購入対象にならないと思いますので、これが出ようが出まいが手の届く製品としてのIntel Macの新製品は期待できないかもしれません。残念。
次回(?)は、最後のIntel Mac = 最後のHackintosh可能プラットフォームを踏まえて、「最後に組むHackintoshをどうするか」について考えてみたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿