UMPC、という言葉を知っているだろうか。Ultra Mobile PC、つまり一般的なノートPCより小型でモバイルに最適化されたPCのことである。
かつて流行ったネットブックや今流行りのUltrabookよりももっとモバイルに特化した小型PC。
ネットブックを「かつて流行った」と称したが、UMPCもネットブックに前後して登場し、
ネットブックほどではないがそこそこ流行し、またネットブックと同じように過去の存在となった。
今回は、私b00tの大好きな「UMPC」というカテゴリの成立と衰退を振り返り、
また今後のUMPC復権の可能性について考える。
ちなみに、UMPCというカテゴリの捉え方、何がUMPCであって何がUMPCで無いかというところは、かなり自分自身の主観に依存しているので、人によっては同意しかねる点が大いにあると思いますがご了承を。
案の定長くなってしまったのでまた章立ててページ分けである。
全体としては
1.第0世代UMPCとOrigami(この記事後半部分)
2.第1世代UMPC・Intel Ultra Mobile Platformの登場
3.第2世代UMPC・Atom登場
4.第3世代UMPC・UMPCの死
5.UMPCは復活するのか?
の5本から構成されている(長っ)。
というわけでこのページは目次にしようそうしよう。
1.第0世代UMPCとOrigami
第0世代とは?本記事では、Intelが提唱したUltra Mobile Platform 2007に準拠したor同世代のPCを「UMPC第1世代」と捉える。Intelの仕様に準拠することが全てではないが、このセグメントを形容する言葉として「UMPC」が初めて明確に使われたということを重視した。以後、Intelのプラットフォームの移行に合わせて第2世代(Atom Z5xx)、第3世代(Atom Z6xx)と呼んでいこうと思う。
では、それ以前に存在した第0世代UMPCとは?時代を遡るとキリがないので、Crusoe時代まで考えると戻りすぎなので、VAIO U101、libretto 100あたりになるだろう。これら日本のメーカーが開拓してきた超小型PCを後追いしたのがIntelの言っていたUMPCだろう。
なんて書くと「え、VAIO type U/UXは?お前OQOも知らんの?」と言われそうである。もちろんこれらもUMPCだが、これらはまた別に考える。
VAIO U101 libretto U100
IntelがUltra Mobile Platformを提唱する少し前、Microsoftも近いジャンルとして「Origami」なるものを提唱していた。こちらは本記事で中心となっている「ノートPCを超コンパクトにする」というアプローチではなく、キーボードレス+タッチパネル+Windowsで新たなモバイルデバイスを創造するというコンセプトである(確か)。
興味が無かっただけかもしれないが、こちらの代表製品はよくわからない。国内メーカーは乗り気ではなく、中国韓国台湾あたりから有象無象が出て、いつの間にかIntelのUMPCプラットフォームに吸収されていったように思う。先ほど出てきたVAIO type U/UXやOQOは、Origamiではない(というよりOrigamiの先駆者だろう)が、コンセプトとしてはこちらに近いUMPCだと思う。
VAIO type U/UX
OQO model 2
で、要するにこのOrigamiは、コケた。
なぜコケたか?完全に主観だが、キーボードが無いからだろう。身も蓋もないが。
2006-07年頃の水準で、タッチパネルのみで操作するPCというコンセプトが無理だった。
何が無理って、MSには無理だった。何せiPhone登場前夜である。今でこそほぼ全てのマルチタッチデバイスの操作体系がiPhoneを源流としているが、それ以前にタッチで操作するモバイルデバイスといえば最高にイケてないWindows Mobileスマートフォンくらいであった。
Origamiのコンセプト自体が間違っていたとは思わないが、iPhoneが無い時代のMSには「タッチ主体のモバイルデバイス」を具現化することは無理だったのだろう。要するにOrigamiは「iPadになれなかったタブレット」である。MSがこのコンセプトを実用に持ってくるのは、5年以上後のWindows 8を待つことになる。
というわけで、UMPCという言葉がIntelによって明確に提唱される以前のUMPCは概ね上記のような状況であった。ここから、Intel A100/A110、そしてAtomの登場によってUMPCは大きく発展し、突如として衰退することとなる。
・・・なんと本題であるはずの第1、第2世代UMPCの話に入る前に終了である。
続きはこちら。
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