2012年12月8日土曜日

UMPCは死んだのか?(2)+(3)+(4)

単なる自己満記事、UMPC興亡記の続き。
前回はこちら

前フリだけで終わった前回の反省を生かし?今回は、
2.第1世代UMPC・Intel Ultra Mobile Platformの登場
→Atom登場前夜、Intel Ultra Mobile Platform 2007によって登場したA100/A110搭載UMPCのお話
3.第2世代UMPC・Atom登場
→UMPC全盛期?Atom Z5xx系を搭載したUMPCのお話
4.第3世代UMPC・UMPCの死
→一気に尻すぼみとなったAtom Z6xx世代UMPCのお話
をまとめて。

2.第1世代UMPC・Intel Ultra Mobile Platformの登場
Intel Ultra Mobile Platform 2007登場までは各メーカーが独自にUMPCを作ったりOrigamiが出オチだったり、という話が前回までで、その後このプラットフォームの登場や、その後のAtom登場によりUMPC市場が活性化することになる。

Intel Ultra Mobile Platform 2007はそんなに凄いことが提唱されているわけではなく、大きいのはPC製造メーカーではなくCPU屋であるところのIntelが、UMPC向けCPU/チップセットを用意した点である。これによって、ソニーがノートPC向けCPUを超絶技巧でtype Uに突っ込んだり、フルWindowsを動かすには非力なVIA C7やAMD Geodeを載せる、といった必要無くUMPCが作れることとなった。

このプラットフォームで使用されるIntel A100/A110というのは、Atom登場に前倒ししてUMPCを投入するために作られたCPUである。言ってしまえば間に合わせCPUで、Pentium Mを低電圧化しクロックを落としたというのが実情であり、実際チップセットもPentium M/Core向けである945系の低消費電力版となっている。
とは言ってもTDP3WのCPUというのはAtom登場以前のIntel CPUとしては驚異的な省電力であり、このプラットフォームの登場を機にUMPCというカテゴリが一定の存在感を発揮するようになる。

Intel A100/A110は直後にAtomが出ることがわかっている時期に出たCPUだったため、本格的なUMPC時代到来はAtomを待つことになるが、それでもLOOX UHTC Shift工人舎SHなどが発売された(工人舎SHはUMPCというよりミニノート寄りかもしれないが)。
LOOX U HTC Shift

その中でもLOOX Uが神機なのは言うまでもない

この時期のもう1つのトピックとしては、Windows Vistaの登場である。
タブレットサポートの強化等機能面ではUMPCにとってもXPより優れていた(はずの)Vistaではあったが、いかんせん非力なA100/A110(そしてAtom)で動かすには重すぎた。
07年当時はXPで動かすということが現実的な選択肢として存在したが、廉価なネットブックならまだしも最先端デジタルデバイスであるところのUMPCにおいては年を追う毎にそうも言っていられなくなり、老朽化したXPか重いVistaかの二択になってしまうのはUMPCにとって痛手となった。
Windows 7の登場で多少なりとも解決したものの、その半年後にはUMPCの死を決定づけるような「事件」が起こってしまっただけにかなりの手遅れ感があった。


3.第2世代UMPC・Atom登場
Intel A100/A110が出た翌年、満を持して真のUMPC向けCPUと言えるAtomが登場し、UMPC市場は一気に活気づくこととなった(多分)。

元来AtomはiPhone登場によって爆発的な発展が予想された(実際にした)スマートフォン市場にIntelが切り込んでいくためのCPUであったが、この時点では現実的にスマートフォンに組み込めるほどの省電力性が無かった。また最もAtomが利用されたネットブックはCeleron等のローエンドCPU市場を食うだけの結果しか生まなかった(結果Ultrabookを提唱してネットブックを駆逐する必要が生じた)ことからIntelの望んだ使われ方ではなかっただろう。というわけでAtomは「UMPC向けCPU」としてその活路を求めることになる。
ここでは、UMPC向けZ5xxシリーズを第1世代Atom、それを載せたUMPCを第2世代UMPCと考える。

この世代がUMPCの一番華やかな時代で、まず本来Intelが一番望んでいたであろうスマートフォンという形で(しかし実質UMPCの)WILLCOM D4が登場した。初代LOOX Uや工人舎SHの後継として新LOOX Uや工人舎SC/SKが登場しただけでなく、LOOX Uに関しては更にフルモデルチェンジも行われた。また、ミニノート的な性格が強いものであるがソニーからも満を持してVAIO type Pが登場し、こちらも2モデル目も出ることになる。また、日本以外でも韓国からmbook(リンクは工人舎版のPM)、viliv N5などが登場した。

WILLCOM D4 LOOX U
VAIO P

当初XPドライバが無かったり、Vistaでは相変わらず(特にA100/A110以上に貧弱なグラフィック周りが)重いなど色々問題は抱えていたものの、ともかくAtom登場によってUMPCというジャンルが定着し、今後も発展していくと当時は感じられた。

また、この時期非常に大きかったのがSSDの登場である。
ちょうどAtomが出だして少し経ったくらいから、ようやく30〜60GB前後のSSDが手の届く値段になっており、各社のUMPCでもSSD搭載モデルが発売されるようになっていった。
今やモバイルPCには必須とも言えるSSDであるが、先陣を切ったのがこの時期のUMPCであると言えよう。
通常のノートPC用2.5インチHDDではなく更に低速な1.8インチHDDを載せなければならなかったUMPCからするとSSDによる速度向上は絶大で、また多少なりとも省電力化・軽量化に寄与することもあってUMPCの実用性を大きく向上させるパーツであった。


4.第3世代UMPC・UMPCの死
今後ますます発展していくかと思われたUMPCだったが、その繁栄は唐突に終わることとなる。
一応第2世代AtomにあたるZ6xxシリーズとその搭載UMPCであるところの第3世代UMPCに関する話ではあるが、主役はUMPCではない。iPadである。

そう、2010年に入ってモバイル業界を激変させる製品がAppleから登場した。この味も素っ気もないツルツルの板は大した製品ではないように見えた。モバイルノートPCくらいの液晶を付けた筐体にiPhoneの中身を突っ込んだだけである。いわばでかいiPod touchでしかなかった。しかしこの製品が、モバイルの形を永遠に変えてしまうことになった。

恐らく、iPadが世に出るまでは多くの人がこのサイズのモバイルデバイスにはPC向けのOSが入るべきだと思っていた。自分ももちろんそうだった。Windows CEデバイスがコンシューマーに全然普及しなかったことを踏まえていたのかもしれないし、「Officeが動かなきゃゴミ」だとでも思っていたのだろうか。「Appleがタブレットを作っている」という噂が立ったときでさえ、ついにMac Tabletが出るのかと言われていた。iPhone OS(後のiOS)が載るらしいと聞いたときは落胆した。要らねぇよと。

しかし登場したものは全然違った。想像通りの「でかいiPod touch」そのものだったのに、想像とはまったく違う使い勝手だった。
画面サイズという制約から解き放たれたiPhone、あるいはiOSのコンテンツ閲覧能力は凄まじかった。何の苦もなく手の上でネットが見られて、動画も、写真も、地図も見られる。それもスマホと比べものにならないほど快適に、PCと比べものにならないほど手軽に。え、でかいだけでこんなに便利になるのかよと。

「コンテンツ閲覧に適したモバイルデバイス」という立場は元来UMPCのものであった。
スマホより大きい画面やキーボードを持ち、手に持って使えるサイズと重量で、PC向けOSによってあらゆるコンテンツを閲覧・編集できる。
だが。
コンテンツ閲覧という目的において、当時のUMPCがiPadに勝っているところなんてほとんど無かった。重さは同じくらいだが、画面はiPadの方が大きくて見やすいし、マルチタッチにおける操作性はUMPCのタッチパネルや小さなポインティングデバイスに勝っていた。そしてバッテリー駆動時間に至っては比べるまでもなくiPadの圧勝だった。

では何が勝っていたか?iPadはMacではない。PC向けOSではない以上、iWorkが動く、クラウドがあるとは言ってもコンテンツを生産するには適したデバイスではない。物理キーボードも無い。文章にしろプログラミングにしろ画像・動画編集にしろ、少なくともコンテンツ生産においてはPCの方が今でも優れている。
しかしこれもUMPCにとってはどうだ?確かにUMPCではOfficeも動く。キーボードもある。だが、コンテンツを生産することに本腰を入れるのであれば「普通のノートPC」を使った方がいい。UMPCはデジタルに関する全てのことができるデバイスではあるが、全てのことを日常的にこなすのに適したデバイスではない。

結局、スマートフォンとノートPCの間にできた深い溝を埋めるデバイスとして、 PC側から歩み寄ったUMPCはスマホ側から歩み寄ったiPad(タブレット)に打ちのめされてしまった。
その結果が今である。iPad登場以降Atom搭載のUMPCは激減してしまった。PC向けチップの提供が遅れたとはいえ、Z5xx系の後継であるZ6xxを搭載したPCはタブレットタイプばかりで、UMPCと呼べるようなものは知る限り皆無であった。UMPCは死んでしまったのだ。


・・・とまぁ、「UMPC衰退原因iPad説」は推測なんだけど、時期的なものとその後のタブレット市場の急激な発展を見るとあながち間違いではないだろう。

では、UMPCはもう過去のものでしかないのか?復活はしないのか?悲しみの弔鐘は鳴り止まないのか?
というわけで、UMPC復活の可能性について次回考察する。というか、本当はそれが書きたかっただけなのに過去を振り返るだけでこんな長々と書いてしまった・・・

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