2017年3月2日木曜日

Gemini PDAってどうなんだ?


まーたまたまた謎モバイルデバイスのお時間です。

Planet ComputersなるところがIndiegogoで募集を開始したGemini PDAというデバイス、もうPC WatchEndadget等で記事になっているので製品そのものについて多くを語る必要はないと思いますが、もちろん琴線に触れる製品なわけで。

製品としての良し悪しというより、一番気になる「で、完成すんの?」という点を中心に考えていきたいです。

結論から言うと、良い意味でも悪い意味でもギャンブルだと思います。



モノとしては言うまでもなく欲しい



まず根本的なところとして、標榜されているスペックが実現するなら議論の余地なく欲しい。逆に言えば、「別に要らんわ」と思う人は本記事の範囲外です。

GPD Pocketより小ぶりなサイズでLinuxが動き、SIM挿してLTE通信できるなら最高でしょう。「Linuxが動いてLTE使えるARMハンドヘルド」となるとPyra(そう、未だ完成しないPyra)が浮かびますが、それでいて中身がバリバリの現行コンポーネントなんだから(紙の上では)すごい。

とりあえず、「ここがこうなったら良いのに、惜しい」的な話はなくそのまま出さえすれば即買うという前提でいきます。


プロジェクトとして期待できるところ



現実的なサイズ感


「PCをウルトラモバイルに落とし込んでいく」という視点だと、Gemini PDAは薄すぎ・小さすぎ・軽すぎ・バッテリー盛りすぎ、という感覚になりますが、「スマホにキーボードくっつけた」と考えると割と現実的なんじゃないかなと思います。PCであるAtomではなくスマホのSoCを使う強みといった感じ。

13.5mmというと大体現代的なスマホ2枚分の厚さで、見た目的にもディスプレイ側とキーボード側が同じくらいの厚さに見えます。

ヒンジの構造からしてディスプレイ側もそれなりに重量がありそうなので、ディスプレイ側に基板が一揃い入っていて、キーボード側はほぼバッテリーというイメージじゃないでしょうか?

スマホ1台分のスペースをバッテリーで専有してると考えると8000mAhという容量もまあアリかなと思います。ただ、着脱式となるとその構造分容量が減るので、そこはちょっと現実味が無いかなと。着脱不可なら現実的だと思うんですけどね。

ともあれ、同等サイズのスマホにキーボードくっつけて内部コンポーネントのいくつかをキーボード側に出した、という考え方でいえばサイズ・重量は空想というほどではないと思います。

微妙なSoC


まるで悪いところのような書き方ですが、SoCが代表的なSnapdragonではなくMediaTekのHelio X25です。必要十分な性能ですが飛び抜けて凄いSoCではない。

詐欺だったり実現可能性度外視なプロジェクトだと「とりあえずSnapdragon 835!」とか言い出しそうなところなので、色々な事情を勘案して決めたように見えるこういう凡庸なSoC(失礼)が採用されることはむしろ信頼感を高める(と思う)。

本当は「色々な事情」までわかればいいんですけどね。コスパとか、省ロットの供給性とか、Linuxドライバの用意しやすさとか。

ハードの設計はそれなりに進んでいることを示唆していますが、それなりに設計が進んだからこそHelio X25の採用を決められた、とも取れます。

「夢を追いすぎないスペック」というのは、少なくともやる側はマジなんだなとは思わせてくれます。

ギリギリ現実的な価格


これもまたEarly Bird $349はスペックに対して安すぎる、と一見思うところですが、利益出るか怪しいものの原価は割れないラインかな、と思います。製品版で利益を出すつもりならまあこれくらいかなと。

10コア・4GB・64GB・2880x1440!と見ると超ハイスペに思えるものの、スマホの価格って(少なくとも同一ブランドの製品なら)SoCのグレードにもの凄く左右されるので、Helio X25のスマホと考えると$349は劇的に安くはないです。

中華スマホになってしまいますが、Xiaomi Redmi ProとかElephone S7あたりのHelio X25搭載スマホが$200前後なので、そこまで安くはないにしても$349で赤字にならない水準で作れる可能性は十分にありそう。

それ以外のコンポーネントについても基本的に吊しのスマホなので、唯一の不確定要素はデメリットでも触れる2880x1440液晶の価格ですね。

ハード設計はそこそこ進んでいる?


Indiegogoとしては「CONCEPT STAGE」ですが、動画を見る限り完成品に近い形をしたモックまではできているように見えます。動作プロトタイプは無いわけですが、レンダリングCGしか無いのとモックでも物理的なモノがあるのでは大分違います。

そもそも「a fully functioning physical model of the device」と称しているわけですが、それは実物が提示されてない以上無いものと考えますけれど。
(「physical model」ってプロトタイプ実機と考えていいんですかね?それとも外観だけでない内部構造まで含めた物理的な設計モデルが存在する程度の意味なんですかね?)


プロジェクトとして不安なところ



会社としての実績


まあこれに尽きますよね。Gemini PDAのために作られたベンチャーなのでそれまでの実績がありません。

構成メンバーは何やらそれなりに実績ある人たちだったりするっぽいですが、組織として製品開発ができるレベルにあるかは別問題で、要は「GPD XD作ったことありますよ」的なわかりやすい成果が欲しいわけです。

PSIONのデザイナーが参加していると言っても、言い方は悪いですがデザインされたものを動くようにして生産できるようにするのは別の仕事なので、完成した製品への期待値は高まっても完成するかどうかの期待値は変わらないなーと。

ハードの設計は進んでいて、部品の供給元・中身の製造を投げる先は決まっている、外装・キーボードは自前で生産します、と言っているので、これが事実であればハードの生産は現実的と言えそう。なので、この話が嘘じゃないor盛ってないなとわかる情報がほしいですね。

ちなみに、「製造先が決まった」的なニュースしか出てこなくなったところは大抵詐欺です。感覚ですが。

液晶の供給


ハード面の細かいところで気になったのはここ。2880x1440の18:9(って2:1やんけ)5.7インチ液晶というのは明らかに先日発表されたばかりのLG G6に採用されているやつです。

モノとして現実に存在していること、液晶の供給元は決定済みと称しているので一見安心には見えますが、これ本当に供給されるんですかね?

恐らくLG内製の液晶だと思うんですが、フラグシップスマホに載せた最新中の最新の液晶の供給がそんなアッサリ決定してるものなんでしょうか。製品セグメントとして競合しない・Gemini PDAの発売が半年以上先(11月)だから構わない、のかもしれませんが。

フラグシップスマホに載せる最新液晶、しかもオンリーワンの解像度ということで、そうそう安く供給されるとも思えないので価格面でも心配なところです。

胡散臭い限定モデル


30台限定・$1000でローズゴールド・ゴールドモデルがあります。こういう余計な開発工数かかりそうな高額モデルを用意してると何も考えてないか金集めたいだけの詐欺かみたいな疑念が出てきます。

まあ、ゴールドモデルなら単なる色違いみたいなものなのでチタンモデルとか言ってたどっかのわけのわからんPGSと違ってさほど問題ではないかもしれないですが。

安請け合い


「○○語のキーボード用意して!」的な要望に対して「いろんなレイアウト対応します」的な安請け合いをしてるのが悪い印象。これくらいの生産規模のデバイスでは物理キー配置どころかキートップ印刷のバリエーションすら持たせるのは困難だと思うんですが・・・

キーボードに限った話ではなく、なんでもできますと言っちゃうのは欺瞞にしろ過信にしろちょっと信用できなくなりますね。

つーかお前ら母国語配列に加えてUS配列くらいは使えるようにしとけよと思ってしまう。

Linux


個人的に一番気になったところ。なんとなくですが、「まあ動かせるだろ」くらいの気持ちで「Linuxもブートできる」と称している感じを受けます。
(正確にはLinuxカーネルなAndroidではなくGNU/Linuxなディストリを指してますがLinuxとします)

Pyraが、Linuxをフルサポートするために現状でも古いOMAP5を採用せざるを得ない、というスタンスであることを考えると最新SoCであるHelio X25でLinuxがそんなサクッと動作するかは疑問です。
(まあPyraはLinux動いたとしてもドライバがプロプライエタリになるSoCはオープンハードウェアとして受け入れられない、とか違う事情がありそうですが・・・)

「ハードの設計はちゃちゃっとやって製造の多くは外注することでソフトウェア部分に注力するぜ」的なスタンスに感じますが、メインがAndroid、サブでLinuxという感じなのでLinuxにどれだけ注力するんだろうかと。どのディストリに対応するのかとかも決めてないようで、あまり深く考えてない印象を受けます。

SoCというだけあって要はHelio X25にちゃんと対応できるかという勝負なので、このあたりのブラックボックスはSoC製造元のMediaTekの協力無しではドライバ書けないと思うんですよね・・・そこまで考えて、そこまで話がついてるのかはちょっと見えてこない。

プロジェクト側はAndroidが主軸っぽいので、「Androidしか動かせんかったわ、ごめん☆」で進んでいく可能性もありますが、個人的にはAndroidだけだったら$349は逆に高いかなという感じになるわけで・・・

果たして出資者がどちらのOSに重きを置いているかはわかりませんが、そこらへんの期待感にズレがあってLinuxが無理でした、になるとマズい気がします。

(逆に言うとだ、Helio X25でLTE含めてLinuxがちゃんと動いちゃったらPyraなんやねんっていう)


結論


難しいギャンブルだと思います。「これはいけるだろうな」という感触もなく、「これは地雷だな」と言い切れるほどでもなく、本当にどう転ぶか読めないという意味で。

価格も難しいです。$199とか$249ならポシャっても笑って済ませられるので、ドブに捨ててもいいやという気持ちで出資できたでしょうし、$549とか$599なら絶対出資できないです。$349/$399というのは実に悩ましいセンです。

自分としては、とりあえず出資してEarly Birdを押さえつつ、期限内にめぼしい進捗が見られなかったらRefundすることにしました。

さて、どうなることやら・・・

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