2019/06/16

BRIX Proが死んだのでNUC8I5BEH(と中華ミニPC)を買った(後編)


前回の続きです。また間が空いてしまいましたが・・・

BOXNUC8I5BEHを買って大満足していたはずが、またNUCみたいな謎PCを買ってしまったという話。

・・・いやまあ、何か特別な理由があったわけではなく、あえてちゃんとしたNUCとパチもんみたいなPCを両方買って並べたら面白かろうという、身も蓋もない話なんですが、このブログとしては怪しい製品を紹介したほうがネタ的にはいいだろうということで書いて見る次第です。



中華PCを見つける


壊れたBRIX Proの代替製品を探すにあたって、普通のPC以外にもAliExpressで中華PCを探してたりしていました。その中で、なんとNUC8I5BEHと同じようにNUCサイズで4コア8スレッドのミニPCがありました。

それがこちら。EGLOBAL V200というモデルらしいですが製品説明にはほぼ出てきません。が、「中華ミニPC」「NUCみたいなPC」といちいち書くのも煩わしいので以後V200とします。

NUCとほぼ同サイズか小さいくらいの筐体で、DDR4 32GBまで搭載可・M.2対応・NUCと同じく2.5インチHDD/SSDの搭載可否で筐体が2種類ある、という感じになっています。

元々は第7世代で2コアのi7-7500Uを積んでいたらしいのですが、第8世代にモデルチェンジしてNUCと同様の4コアになったみたいです。第8世代ではi5とi7の2モデルありますが、両方とも4コアです。

積んでいるのはi5-8250Uまたはi7-8550Uで、非常にややこしいですがNUCのi5-8259U / i7-8559Uと比較して同じ世代で1つ前のモデルになります。本当は前者がKaby Lake Refreshで後者がCoffee Lakeなので、前者はKaby Lakeと同じ第7世代な気がしますがそうなっていません。まあユーザー的にはコア数が増えた方がインパクトが大きいのでそこが世代の区切りなのかもしれませんが・・・

これらのCPUの違いを挙げていってもわかりづらいので、前回と同じく一覧に。



一覧を見ると、V200のCPUはNUCと比べてTDPとクロックが低くてiGPUが結構しょぼい、というのがわかると思います。

とはいえGPD WINのようなモバイルならまだしもデスクトップにおいてはIrisだろうとディスクリートGPU相手には勝負にならないので気になりませんし、クロック差もTBクロックにおいては大きくありません。

それでいてi5モデルが$280、i7モデルが$340前後で買えるならばかなりお得なのでは・・・?i7であれば理論上i5のNUCより速くて安いという可能性もあります。

ということで結構気になってはいたのですが、osx86の検証機という元々の目的に立ち返るとナレッジの少ない謎PCでギャンブルして失敗しては元も子もないので、このときは結局NUCを買いました。


我慢しきれず


・・・しかし、マイナーPCで遊ぶという魅力に抗えず、NUCで一通り動作確認を行って非常に良い製品であることが確認できた後にわざわざ買ってしまいました。

iPad miniとXiaomi Mi Pad 2を2台持ちしてみたり、時々「本物とパチモノを同時に所有する」という変な欲が出てくるんですよね・・・いやこれに関してはサイズがNUCなだけのオリジナル製品でパチモノ呼ばわりは失礼ではあるんですが。

そして「もちろん買うならi7モデルだよね」ということで注文しましたが、中華あるあるの在庫切れ。で、特に必要もないネタ要員なのでここで諦めればいいんですが、店舗から「i5モデルとの差額+αを返金するからi5モデルで手を打たないか」と言われ手を打ってしまいました。何をやっているんだか。

ちなみに、ストレージオプションを2個付けないとデフォルトでは薄型筐体が来てしまうらしく、ストレージ・メモリは自分で用意するため不要なので「厚型でくれ」と連絡しました。

ストレージを付けるとOEM版Windows 10が無料でインストールされるとのことで、「+$35でライセンスシールも付けるよ!」となっているんですが、つまりそれ$35払わない方のWindowsって割れじゃん!まあAliだと「クラック版Windows付けるよ」とか明言している店舗もあるくらいなのでこれも中華あるあるですね。まあosx86やるんで悪く言えた立場じゃないですが・・・


そして届く


NUCよりもマイナーなので、こっちは開封の儀をやっていきましょうか。


ちゃんとした箱に入ってきます。


開けるとこんな感じ。右にはACアダプタとかHDMIケーブルが入ってます。ミッキーケーブルも入ってるので、この点についてはNUCよりちゃんとしてますね。


ドライバディスク?はDVD-R。たまたま光学ドライブが手持ちに無かったので中身はわからないけど。そしてNUCと同様にVESAキットまで付いてきます。アーム使いだから出番ないですが・・・


というわけで本体。箱は薄型だけどちゃんと注文通り厚型筐体で来ました。側面・底面は厚みのあるアルミになっていて結構高級感があります。

天面は最初めっちゃ傷が付きやすいプラなのかと思ったら保護シールがぴったり貼ってあっただけでした。というか貼ってある状態から切り出された感じ?よく見ると電源ボタンが商品画像と違いますが気にしたら負け。


前回の写真ですが。NUCとは幅がほぼ同じで奥行きが短く、少し薄いのでちょっとコンパクト。


正面から見て左側面にもUSBポートが2.0と3.0一つずつあります。右側面は何もなし。


背面。HDMI2.0とMiniDPがあるので4K60Hzでデュアルモニタできます。USB-Aは2.0ですが、Type-CポートがUSB3.1になっています。


中身。モデルはV200のはずですが基板にはV210と書いてあります。おそらくi7-7500Uが載っていたモデルがV200で、第8世代CPU搭載モデルはV210なんでしょうね。M.2はNVMe/SATA両対応、SO-DIMMスロットは2つ、2.5インチ用SATAケーブルも生えていて一通り完備されています。

ネタPCに32GBも積むほどお財布は潤沢ではない一方、8GB2枚買ってもなぁということでNUCと同じPATRIOTのDDR4-2666 16GBを1枚だけ刺しました。前回赤いの買ったので今回は黒で。


M.2周りをアップで。NUCと異なり、WiFiがオンボードではなくM.2のAC3165なのでosx86的にはコンパチなチップに変更できるのがちょっと嬉しいかもしれない。

後で回すベンチの際は、容量やシングル/デュアルチャンネルの差が出ないようNUCに載せたメモリを移してきたんですが、ここで問題が。NUCよりもスロット間の隙間が小さいみたいで、ちょっと力を入れて押し込まないと刺さらず不安な状態でした(認識はされる)。なのでこういうヒートシンク無しのメモリにした方がよかったかもです(実際は1枚運用だから問題ないけど)。


BIOSでまず笑い、まさかの・・・



とりあえず起動、したらいきなりこれ。EVALUATION COPY・・・?おいおい、割れWindowsを回避したつもりが割れBIOSかよ!?・・・まあ、調べてみるとEVALUATION COPY = 不正規品、というわけではないようで単にbetaなBIOSが載ってるだけという可能性もあるようですが、いきなりのズコーでまず笑う。


そしてBIOSに入ってみると・・・i5-8350U!?なんと公称より1ランク上のCPUが入っています。確かに商品説明には「Probably send i5 8350U by random」などといい加減なことが書いてあったものの、「アタリ無しのクジみたいなもんだろ」と気にも留めていませんでした。まさか本当に入っているとは。

そしてSpeedが1900MHz表示なのでcTDP upで設定されているようです。

先程の表にi5-8350Uを加えるとこんな感じ。


i5-8350Uだと4コアTBクロックがi5-8359Uと並ぶので、理論的には同じ性能が期待できるわけです。わくわく。


osx86とベンチマーク


性懲りもなくMojaveを入れていきます。

基本的にNUCと同じMacmini8,1として動かすことができます。NUCにも増して需要がないと思うので細かい設定は書きませんが・・・

NUCよりは多少苦労して、DevicePropertiesでHDMIとDPを入れ替えたりする必要がありました。そしてそれでもHDMIで4K出すとブラックアウトしてしまう問題があり、一画面出力でしか使えてないです。

何も考えずGeekbenchを回しました。
あれれ、前回NUCが以下の結果なので思ったより低い。
V200の方がシングルコアで5-15%、マルチコアで25-30%くらい低いという形になってしまっています。

どうやらターボブーストがフルで効いていないようで、Intel Power GadgetのログではNUCが3.6GHz張り付きだったのと比較してV200ではGeekbench 3実行時で平均2.8GHz程度となってしまっていました。クロック比とマルチコアのスコア比がほぼ一致しているのでこれがスコア低下の原因でしょう。

何せWindowsを動かしてもいないので単にosx86のセットアップがうまくいっていない可能性もありますが、冷却・排熱がイマイチな気がします。

NUCと異なりアイドル中からそこそこファンが回る一方、ベンチ中はCPU温度がNUCより5〜10℃ほど高い状態となり筐体も熱を持つので、冷やせてないからターボブーストの最大クロックを維持できないのかなという感じです。

しかし、仮に冷やしきれないことでクロックが頭打ちしているとしたら、i7モデルでもそんなに性能の伸びが期待できないかもしれません(i7はコアが選別品で同じ発熱で高クロックまで回る可能性もありますが)。そういう意味ではi7モデルが買えませんでしたがi5を安く買えたほうが得だったのかも。


まとめ


とりあえずMojaveが起動する程度にセットアップしてGeekbench回しただけなのでレビューと言えるほどのこともしてないですが、i5のNUCとV200を比べると
  • サイズ・M.2・SATA・メモリといった基本スペックはNUCと共通
  • WiFiがM.2なので交換可能
  • 筐体の高級感は見劣りしない
  • NUCの約2/3の価格で買える
  • USB3.0がNUCより少ない
  • 静音性はNUCに敵わない
  • 実性能はスペックシート以上に差がある(多分)
こんなところでしょうか。

これがIntel製の別モデルだったら「こっちの方がコスパ良いよね」というところですが、Aliで売ってる保証ナシのノーブランドPCということを考えると「この価格差なら素直にNUC買っとけ」となっちゃいますね。

ただ、NUC8I5BEHが非常に良くできた製品というだけで、単体で見ると3万円前後で買えるベアボーンとしては拡張性も性能も良く筐体もしっかりしているので、意外と(失礼)ちゃんとしてるなと思いました。

それにしても、NUCと中華PCを両方買うのは実に無駄な買い物でしたが、やはり2つ並べて比べるのは楽しいw

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