ご無沙汰しておりました。引っ越し後、録画サーバーやファイルサーバーを新規構築してデータの移動・整理とかしていたら(サーバー以外の)自作PCやUMPCに全然触らないまま年も変わり元号も変わり。
というわけで今回はUMPCじゃなくてBOXNUC8I5BEHというNUCと、なぜか中国製のNUCみたいなPCも買ってしまったのでそれぞれレビューというほどでもないですが軽く紹介していきます。
・・・と思ったんですが、書いててNUCの段ですでに長くなってきたので写真右の中華NUCについては後編ということで。
BRIX Proが壊れた
4年半くらい前(!)にGIGABYTEのBRIX Proを買ったんですが、今年に入って久々に電源を入れたら不安定になってました。起動しても数分でシャットダウンしてしまい、その後はしばらく電源が入らないという状態に。メモリを1枚刺しにしたり、SSDを替えたり、ACアダプタまで替えたんですが症状が改善せず。
TDP 65Wのi7-4770RをNUCサイズにブチ込むという爆音・爆熱構成だったにも関わらずQSVエンコード用として酷使したのが祟ったのかもしれません。
引っ越しに伴いPC群を整理した関係で、サーバー以外の自作PCがX299機にRyzen機とosx86的に特殊になってしまったので、サブ機兼セットアップ用の検証環境として使おうと思ってたのですがさあ困った・・・
代替品を探す
というわけで代替品が欲しくなったわけですが、BRIX Proは4年以上前のHaswellベアボーンなので性能的に同等以上の製品を見つけるのは容易い、ように思えますがこれが難しい。
なにせ、上述の通りデスクトップ用4コア8スレッドのi7-4770Rを載せた変態NUCなので、2コアが普通のNUCでは見劣りします。今なら小型ベアボーンはDeskMini A300 + Ryzen 5 2400G一択と言っていいくらいの状況ですが、osx86の関係で事実上Intel縛りなのでそうもいかず。Intel版のDeskMini 310もありますが、iGPU付きIntel CPUのラインナップが壊滅しているので今買うには微妙なんですよね・・・
と、知識が全然アップデートされてなかったんですが、最新のCoffee Lake搭載NUCって超高いゲーミング向けじゃなくても4コアモデルがあるんですね。しかも最上位のi7だけでなくi5モデルすら4コアになっているという。
ということで素直(?)にNUCを買うことにしました。
選定
お亡くなりになったBRIX Proとのツーショット。右がNUC8I5BEH。
Coffee Lake世代のNUC(Bean Canyon)は下記のような構成になっています。
- BOXNUC8I3BEK Core i3・M.2のみ
- BOXNUC8I3BEH Core i3・2.5 HDD/SSD対応
- BOXNUC8I5BEK Core i5・M.2のみ
- BOXNUC8I5BEH Core i5・2.5 HDD/SSD対応
- BOXNUC8I7BEH Core i7・2.5 HDD/SSD対応
厚さがちょっと増すだけでストレージが多く積めるHの方が使い勝手が良いと思います。Kの方が安いならともかく、実売だと同等か下手するとHの方が安かったりするくらいなので、よっぽど薄さに価値を見出していないと薄型にする理由が無い気がします。
Core i3モデルに載っているのは2コア4スレッドのi3-8109Uですが、今回は4コアが欲しかったのでパス。
Core i5モデルに載っているのが先述の通り4コア8スレッドのi5-8259Uです。ベースクロックがi3-8109Uの3.0GHzに対してこちらは同TDPでコアが2倍な分2.3GHzと下がってしまっていますが、TBクロックは3.6GHz vs 3.8GHzなのでシングルスレッドでもキッチリ速いです。
Core i7モデルには同じく4コア8スレッドのi7-8559Uが載っており、i5-8259Uとの差はクロックとL3キャッシュサイズ(6MB vs 8MB)です。ピークパフォーマンスに直結する全コアTBクロックがi5-8259Uで3.6GHz、i7-8559Uで4.1GHzらしいのでi5との性能差は1〜2割だと思いますが、一方でi5モデルより2〜3割(1万円以上)高いのでコスパが悪く感じます。
やはり真ん中のモデルだからなのか、最近の実売価格だとi5モデルがやたら高コスパなのでi3とi7モデルが相対的に高く見えてしまいます(特にi7モデル)。i7はi5モデル+1万円を切れればバランスが取れそうなんですけどね。
以前のデスクトップi5のように4コア4スレッドにすれば良い感じで差別化された気もします。まあ、買う側としてはもちろん4コア8スレッドで嬉しいわけですが。
CPUについてまとめるとこんな感じ。
用途は人それぞれなのでNUC8I5BEH一択、というわけではないですが、個人的にはベストだったのでi5搭載モデルであるNUC8I5BEHを買いました。
組み立て
・・・って、メモリとSSDを刺すだけのベアボーンに組み立てもへったくれもないので省略。
よく言われている注意点としては「(メガネじゃない)ミッキーケーブルが付属しない」という点ですが、自分はBRIX ProのACアダプタ故障を疑い買い足した(が徒労に終わった)ものがミッキー型だったので問題なく流用できました。涙。
メモリはせっかく安くなっているから満載しようということで、2枚組で買うより安かったPATRIOTのDDR4-2666 16GBを2枚購入。NUC自体はDDR4-2400までなのでDDR-2400モデルでも良かったんですが、後々流用したとき高クロックのほうが嬉しいかなと。
SSDは買わず手持ちのものを流用。MZHPV256HDGL(SM951)という、NVMe普及前夜に発売された「PCIe接続なのにプロトコルがNVMeじゃなくてSATAと同じAHCI」という変態M.2 SSDを持っていて、コイツが(当然)SATAオンリーのM.2スロットには刺せずNVMe用スロットだとブートできないマザボがあるなど、過渡期製品特有の扱いづらさだったんですが、このNUCでは見事ブートディスクとして使えたので活躍してもらうことにしました。
USBは全ポートUSB3.1で、USB-Aは正面と背面で2つずつ。正面の黄色い方は充電用ポートでシャットダウン時も通電するみたいです。
Intel製ということでThunderbolt 3ポートが付いており、
HDMIも2.0なので、HDMI + DP(USB-C)で4K60Hzの2画面出力ができます!すげぇ!
サイドにはUHS-I対応のmicroSDXCスロット付き。実はまだosx86とUbuntuでしか使ってないのでCDMのベンチ結果は無いです。
このMicroSD、ブートにも対応しているようで実際Ubuntu Server 18.04.2 LTSをインストールして起動できました。Intelのサポートによるとレガシーブートしかできないようですが、少なくともUbuntuについてはUEFIブートも可能でした。
MicroSDブートができると、USBメモリを刺さなくてもSSD2本を丸々データディスクとして使えるので小型サーバ用途としては嬉しいかもしれないです。
osx86
Windowsを動かす予定はないので、初っ端からMojaveを入れました。i5-8259Uは2018年モデルの13インチMacBookProに入っているCPUそのものなので、目論見通りサクッと入ってくれました。何より変態SSDに入ってくれたのが嬉しい。
と言いつつ実際のところ思っていたよりはハマりポイントがあったんですが、こちらでこの世代のNUC(NUC8)用のconfig.plistとSSDTが公開されていたので結果的に簡単でした。
ただこちらのconfig.plistはやや古いのでSMBIOSをMacmini8,1にするなどちょっといじりました(MBPにしなかったのはデスクトップのSMBIOSにしたかったから)。Coffee Lake MacのSMBIOSを使うことでlilucpuとかDevicePropertiesとかでspoofかけなくても動いてくれるようになります。
ちゃんとした構築手順を書き起こすのは面倒なので要望があればということで・・・上記リポジトリから読んでいけば簡単です。
動作・ベンチマーク
もっとも驚いたのは、想像以上に静かだったことです。前任者が爆音爆熱のBRIX Proだっただけに、TDPが違うとはいえBRIX Proより0.5回りくらい小さい筐体で4コアCPUだから覚悟していたんですが、アイドル時は静音PCレベルでした(※感覚なので個人差あり)。
しかもGeekbench程度の負荷ではほとんどうるさくならず高負荷でもBRIX Proのアイドル程度なんじゃ?というくらいなので静音性には驚かされました。しかもきっちり全コア3.6GHzで回ります。
というわけでベンチマークのお時間です。Windows世界ではベンチの取り方は色々あるんでしょうがosx86なのでGeekbenchです。
とりあえず回した結果が以下。
- Geekbench 3 - Single 4386 / Multi 16540
- Geekbench 4 - Single 5045 / Multi 17738
さて、この結果が他と比べてどうかなんですが、肝心のBRIX Proの履歴が残ってなかったという・・・ただ、Geekbench Browserで検索した限りだと、BRIX Proと思しきスコアは
- Geekbench 3 - Single 3913 / Multi 14732
- Geekbench 4 - Single 4564 / Multi 15640
自分で回したものとしては、以前のメインマシンであるi7-4790Kのものが残ってました。
- Geekbench 3 - Single 4540 / Multi 16929
上記i7-4790Kは定格で回していたとはいえ、簡易水冷だったので全コア4.2GHzでは回っていたはずなのでそれと遜色ないのは驚きです。
(i7-4790Kとi7-4770Rの比較だと全コアTBが4.2 / 3.7GHz ≒ 1.14倍、16929 / 14732 ≒ 1.15倍なので大体計算が合っている)
Geekbench実行中にIntel Power Gadgetでログを取っていましたが、基本的に3.6GHzに張り付いており1/2コアTB3.8GHzも相まって平均が3.6GHzを超えていたので結構しっかり冷やせている印象があります(Geekbench自体はそんな高負荷なベンチマークではないですが)。
まとめ
BRIX Proが壊れた腹いせに半ば衝動買いに近い形で買ってしまったNUC8I5BEHですが、以下のように想像以上に完全無欠感のあるPCでした。
- 4コア時代のCore i7最上位に匹敵する高性能
- メモリはDDR4 2枚刺さるので32GBまで搭載可
- M.2はNVMe(x4)とSATA両対応し高性能も大容量も対応
- M.2と2.5インチでSSDが2本積める拡張性
- HDMI 2.0 + USB-Cで4K60Hzの2画面出力対応
- 小型ベアボーンとは思えない静音性
- Mojaveがサクッと完動するosx86親和性の高さ
- デスクトップCore i7程度の価格で買えるコスパの良さ
まあ、osx86縛りを無くせばコスパ・拡張性においてDeskMini A300 + Ryzen 5 2400Gが更に上を行ってはいますが、NUCとしては非常に完成度の高い製品と言えるんじゃないでしょうか。
というわけで前編はここまで。これさえあれば何不自由のないNUCを買ったにも関わらず、なぜ似たような謎のミニPCが手元にあるのか・・・という話は次回。
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