2019/06/24

GPD MicroPCが届いたので簡易レビュー


忘れた頃に届きました、GPD MicroPC。

ブログ更新サボってたので出資したことすら書いてませんでしたが、例によってIndiegogo出資からのMicroPCが着弾しました。

とはいえちゃんとしたレビューは他でされるでしょうし、今回はスペック上osx86ネタもできないMicroPCなので紹介は簡潔にしつつ、MicroPCが届くまでの間にUMPC界隈で主要な話題になった感のある8インチクラスのUMPCらへんの話も書いたりしていきたいと思います。

書いてたらいつもの悪癖でMicroPCだけで無駄に長くなったので8インチUMPCの話はまた今度・・・



出資



今年に入って突如発表された、GPD WINでもGPD Pocketでもない謎のUMPCであるGPD MicroPC。

ネットワーク技術者(?)向けということで有線LANが付いたりシリアルポートが付いたりとWIN/Pocket以上に変態なUMPCです。

しかし、職業はITエンジニアなもののインフラエンジニアではないし、そもそも私用PCを業務では使えない職場なので特に活かせる環境でもなく。

趣味としては自宅サーバー構築したりするのでインフラ寄りですが、とはいえアンチレガシーのMacユーザーだった期間が長いのでシリアルポートなんて15年くらい使ってないですし。

他のシリアルポートの使いみちなんてお札繋いで化け猫の封印ができるくらいでしょうか。でもあれも中盤からIRになってたけど・・・

ということで、自分としては劣化GPD WINとしてしか活用できないのでさすがにこれは要らないかな・・・という感じだったんですが、正直銀黒ボディがダサいGPD WIN 2よりもメカメカしいデザインがオタク的に好みだったのとクラウドファンディング価格が$299と安かったので気付いたら出資してました。「GPD製品はもういいかなぁ」という気分だったはずなんですが。


届く



そんなこんなで、メモリが当初予定の4GBから6GBになって代わりに+$10取られたり、更に結局8GBになったりといったこともありましたが、「待ちわびた」というほどのものでもなかったので存在を忘れかけていた6月に発送連絡が来て、ほどなくして届きました。

探せばいくらでも出てくる開封の儀はスキップ(というかこんなところまでGPD MicroPC情報を漁りに来る人は別のところで見ているでしょう!)。


マットな筐体は(初期モデルのクリア天板を除く)GPD WIN系と同じ感じ。


要らないと評判のGPDロゴ。OneMixにしろChuwiにしろロゴは要らない扱いされますねぇwAppleロゴと違って見せつける用ではないのか、閉じるとこちらを向いて開くと逆さになる向き。それでいいのか・・・


底面。ゴム足が装備されていて滑りにくくなっています。GPD WIN系は一体成型の突起だったので、これに関してはむしろ廉価版であるMicroPCの方がコストかけている部分ですね。ネジ穴の用途はあまり浮かんでこない。

SSDはSATAのM.2 2242なので交換可能なんですが、GPD WIN 2と異なり底板ごと外さないと交換できないのでメンテナンス性は悪いです。こっちの方が頻繁に入れ替えたい需要あるんじゃないのかな・・・?


ストラップホールとオーディオジャックとマイク。サーバールームでこれを首から下げて使うエンジニアが本当にいるのだろうか。


そして、これ!USBポート!なんと、ついに、上下が正しい向きで付いている!これでPIX-MT100とかがこんなことにならないためにこういうのを買ってこうしたりせずに済む!

・・・と言うとかなりバカバカしい話なんですが、GPD WINは初代/2共に基板の設計上USBポートが逆さだったのがMicroPCではちゃんとしています。実際のところ困るのはこのPIX-MT100利用時だけなんですが、まあまあ重要な周辺機器なので個人的には助かります。


もちろん、目玉となる充実した背面インターフェースのUSBポートも上下正しくなっています。シリアルポートが圧倒的存在感を発揮している中でも、USBが2つだったりHDMIがフルサイズだったりするのは良いですね。


ちなみに、死ぬほどどうでもいいですがMicroPCの最大ディスプレイ角度とPIX-MT100の斜め固定時の角度は無駄に相性が良いです。


起動



なんと、ついに、BIOSが横画面で表示される!・・・はい、これもバカバカしい話ですがようやくハードウェアレベルのローテートが入ったようです。これで首を傾けながらBIOS操作する必要もありません。普通になりましたね。


一応プロ向けということでプリインストールはWindows 10 Proです。まあ確かに仕事で使うならドメイン参加機能とかが要るのでProだと嬉しいでしょうが、結局のところ私用なので・・・

BitLockerはPro専用機能ではありますが、ブートドライブ自体はHomeでも暗号化できるので便利かと言うとそこまででも。ちなみにデフォルトでは暗号化されていないのでBitLocker使いたかったら自分で有効化しましょう。

強いて言えばリモートデスクトップのサーバー側になれることですかね。どちらかというとクライアント的使い方をするデバイスですが、有線LAN繋いでデスクトップPCからリモートデスクトップで繋ぐと外部キーボードやHDMIを繋がずに操作できるのでセットアップとかは楽です。


操作性



特に期待していなかったんですが、全体的に良い感じです。

トラックパッド


ずいぶん無理のある位置に付けたなぁという印象のトラックパッドでしたが、実際使ってみると親指操作は結構快適です。GPD WIN系のスティックより良いかもくらい。

タップができるため右手だけで持っていてもそこそこ操作できるので、GPD WINと比較してショルダーボタンが無い欠点を補えています。

一応マルチタッチ対応なので2本指スクロールとか3本指ジェスチャーもできますが、いかんせん小さいので3本指ジェスチャーは実用的ではないかな。置いて使うなら2本指スクロールは使えますが、持って使うならW10Wheel.NETを入れて中ボタンスクロールしたほうがいいかなと思います。

キーボード


GPD WIN比でかなり押しやすいです(比較対象が雑魚とも言う)。見た目ほどストロークはないポチポチキーですがそれでもキートップのサイズが効いてます。

ただ、キートップを大きくするためにキー数を減らすという犠牲を払った結果なので、当然記号入力は辛いですが・・・エンジニアなら記号キーは多用するし、ゲーム中のチャットとかでは文章入力だけできればいいので、コンセプト的にWINとMicroPCのキーボードは逆なんじゃないかという気がしないでもない。

あとトラックパッド領域を確保したことで数字キーの6以降が6段目以降に追いやられているので、数字の直感的な入力は不可能です。これは致し方ないけど。

また、キー配列とか以前に(自分の場合)親指が中央に届くのでちゃんと打てます。GPD WIN系は普通に持ってると中央に届かない感覚があるので幅の差かな、と思ったんですがGPD WIN 2はともかく初代GPD WINとMicroPCでは幅はほとんど変わらないんですよね。

で、何が違うかというと持ち方が違う。ショルダーボタンのGPD WIN系はカーソル操作のときと文字入力のときで持ち方を変える必要がありますが、ショルダーボタンのないMicroPCでは人差し指を肩にかける必要がないので同じ持ち方でトラックパッドもキーボードも触れるんですよね。

逆に、GPD WIN 2でもゲームパッドのAXあたりにクリック割り当てて普段ショルダーボタン使わないようにすると文字入力のストレスが減るのか?と思ったり思わなかったり。

バックライトはまだ暗いところで使ってないのでパス。


しかしだ、ここのふざけた黄色の印字はどうにかならなかったのか????ここだけで一気に中華パチモンっぽさが・・・

タッチパネル


いや、無いんですけどねタッチパネル・・・初代GPD WINと比べると天板の厚さは大差無いので、搭載スペースの問題ではなく単純にコストダウンで外されたんでしょうがあって困るものでもないのでちょっと残念。GPD WINに対するトラックパッド周りの優位性もタッチパネルの有無でまくられてしまうので。

むしろ、プロ向けを謳うなら「タッチパネルが無い代わりにノングレアパネルだぜ!」とかだったらコンセプトにも合致していて納得感あったと思うんですが普通のツルテカ液晶なのでそこは残念。


その他


ファンは結構うるさい、というか耳障りな音がします。オフにできるのでまだ良いですが、載ってるCPUがしょぼい(GPD WIN 2よりも初代GPD WINに近い性能)のでファンレスで更にクロック落ちるのも嫌なんですよね・・・初代WINのように中間の静音モードがあればよかったんですが。

あとGPDあるあるの電源周りの狂った挙動が今の所見受けられないのは良いことです。まあこれは使い込むと発覚する何かはあるかもしれませんが・・・

映像出力周りについてはUSB-CがDP Alt対応しているのでDP変換して4K/60Hz出力できました。HDMIが謎で、普通に繋ぐと30HzになってしまうんですがUSB-C to DPと組み合わせて2画面出力したらつられて(?)60Hz出力になり、本体と合わせて3画面に拡張モードで表示できました。

2画面出力すると性能足りなくて片方が30Hzに落ちる、とかならわかるんですが逆なのはなんなんでしょうね。まあポート的にはちゃんとHDMI2.0で4K/60Hz出力できるということなので、Intelのコンパネとかから設定すればHDMI単独でも60Hz出せるかもしれないですね(やる気がないので試してない)。

フルサイズHDMIなのはアダプタを必要としない点で良いですが、映像出力はUSB-C経由でできるんだし、技術者向けというならHDMI入力にしたら面白かったんじゃ、とかしょーもないことも思いました。あるいはシリアルポートの代わりに追加で付いてたら神だったのに。

サーバーは構築後はsshでメンテしますが、初期セットアップのときだけ5mのHDMIケーブルを引き回してテレビに出してるのが面倒なので、HDMI入力がついててスイッチで外部入力の表示に切り替えたりできたら神だった。ついでにUSB-CとサーバーのUSB-Aを繋ぐとMicroPCのキーボード・トラックパッドで操作できるようになるとかね!
(※専用回路の実装が高コストそうで無理なのはわかってるんでネタです)

まあそのようなsshセットアップ前の操作をするためのシリアルポートなんでしょうけど、自作PCベースなのでサーバー側にシリアルポートが無いんですよねぇ。

ちなみに↑でリンク貼った5mのHDMIケーブルは4K/60Hz対応で細くて柔らかくてしかも安い(1m/2m/3mもある)ので超オススメです(ダイマ)。


感想


期待感が無かった割に思った以上に良いPCな気がします(使い込んでないので断言はしない)。製品自体の魅力もさることながら、GPD製Windows PCの5代目ということでBIOSの縦横やUSBの上下や電源周りといったPCの基本的な部分及第点レベルまで向上しているところが好印象。

何より感じたのは「GPD WINに求めていたのはこれだったのでは」ということです。もちろんパッドが無いのでMicroPCではゲーミング用途は満たせませんが、GPD WINを汎用PCと捉えて買った(自分を含む)層にとってはMicroPCの方がしっくり来るような気がします。

対象ユーザーの違い以外に廉価モデルとしての側面もあるため、CPUがローエンドだったりタッチパネルが無かったりするのは残念ですが、それらを兼ね備えていたらGPD WIN 2は手放してもいいかも・・・と思える製品でした。

それにしても、両手持ちサイズのUMPCという超ニッチジャンルの製品を同じメーカーが2つの製品ラインで出しているというのは中々の異常事態ですよね。7インチ以上クラスのように2メーカー以上が出しているだけでもかつてなかった事態なのに・・・

競合が無い以上、GPD MicroPCのようなUMPCが欲しかった人は既にGPD WINを買っている気がしますし、UMPCでゲームしたい人はGPD WINが無かったらGPD MicroPCを買っていた気がします。総ユーザー数は増えないんじゃないか的な。「GPD WINは初代も2もスルーしたけどGPD MicroPCは買った」みたいな人っているんでしょうか?

「どうせオタクはどっちも買うからモデルを増やした分だけ売れる」という考えなら確かに正解な気がしますけど(典型的カモ)。


また、「フルサイズのHDMIが必要なのはGPD WINなのでは?」とか「SSDが簡単に交換できると嬉しいのはGPD MicroPCなのでは?」とか、それぞれのキャラクターについても完全に棲み分けできているかというと怪しいので、そのへんはモデルを重ねていくと差別化されていくものなんでしょうかね。

さながらモータースポーツで言うと「LM-GTEとFIA-GT3という似通ったカテゴリーがあって両方にマシンを作って供給しているアストンマーチン」のようです(まったく伝わらない)。

というわけでまたまた増えてしまったGPD製UMPC、初代GPD WIN/Pocketも手放しておらずまったく使い分けができていないわけですが、これからどうしよう・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿