1年に1回しか書かないブログになって久しいですね。もうちょっとアウトプットしたいんですが、元気がないのとblogspot使いづらくて余計筆が進まないのと(言い訳)。深く考えず作ってしまったブログなので、なんかもうちょっとエディタが使いやすいブログに引っ越したい。
さて、IT関連における私の三大趣味は
- UMPC
- Hackintosh
- ZFS/NAS
なんですが、2023年はHackintoshばかり触っていたので今回は2023年のApple / Hackintoshについて振り返っていこうと思います。
あ、でも去年NASはUbuntu LTS手組みZFSからTrueNAS SCALEに更新しました。容量がやたらでかい(パリティ除いて128TB)以外は何の変哲もない構成なので特に記事にはしませんが。
さて本題。
2023年のApple / Hackintosh動向
M2 Pro Mac miniを買った
1年前に「買おうと思っていたM2 Pro Mac miniが2022年に出なかった」と書いた2週間後に出たので買いました。初のApple Silicon Macです。
- 無印M1 / M2はiPad向けAxxXシリーズのリネームでしかなく、外部ディスプレイ出力などの足回りがPC基準でないのでダメ
- M2 Pro / Maxの差はGPUだけなのでM2 Proで十分
- Apple Siliconは冷やしたところで回らないのでMac Studio筐体は無駄
ということでM2 Pro Mac miniを狙っていました。が、円安の煽りでクソ高くなってしまいMac Studio発売時に買っておけば良かったかもとちょっと後悔。
本当はAlder Lake / Zen3マシンと比較した記事を書いてたんですが、書きあがらないまま旬が過ぎてお蔵入りに。
でもまあやっぱりTSMC N5Pなりの性能ということで、良いマシンですし一方革命的でも無いです。モバイルPCにとっては最高だけどデスクトップとしては物足りない、Apple Siliconはずっとこんな感じなんでしょうね。
最後のIntel Mac(Mac Pro)が終売
前回「載せるSoCが無いからMac Proは2023年後半まで出ないのでは?」と書いたんですが、実際は6月に出ました。なんとMac Studioと同じM2 Ultraで。
16+8らしいM2 Ultraが最上位で出たらあまりにも面目がないんでは・・・
なんて書いたのにその通りになってしまいました。
- M2 Ultra以上にコアを増やしてもスケールしない
- M3が間に合わなそう
- シングルスレッド特化コアを別途作るリソースはない
- ユニファイドアーキテクチャだとIntel Mac Pro並のメモリが積めない
これらの問題をどうするんだろう、と思っていたわけですがまさか何一つ解決せずに中身Mac Studioで出してくるとはさすがに予想できませんでしたね。しかも(競合になるので当然)AMDがドライバ書いてくれないからdGPUも無いのでPCIeもほとんど意味がないという。
さて、このように強引にMac Pro(の箱に入ったMac Studio)を出したことにより、ついにIntel Macは終売となりました。これがHackintosh的にどういう意味を持つか。
macOSのIntelサポート期間という意味では、後述しますがAppleはサポート期間の算定において終売時期をほとんど意識しておらず発売時期で決めているっぽいので、特に関係はないでしょう。
関係するのは適合ハードウェアの最終世代が確定したことです。
Intel Mac Proは2019年発売ですが、2020年にW5700X、2021年にW6800X / W6900X、2022年にW6600XがCTOオプションに追加されたことで都度ドライバーが提供され、相当する世代のRadeonがHackintoshでも利用可能になっていきました。
もしMac Proのリプレースが引き延ばされ、RDNA 3カードのオプションが追加されればRX 7800 XTなどが使える希望がありましたが、終売のためそれも無くなりました。
ということで、グラフィックボードについてはおそらくRDNA 2がHackintoshで利用できる最終世代ということになります。その中で最速だとRX 6950 XTということになりますね。まあ、ゲームやAIワークロードやりたいならWindowsでGeForce動かした方がいいので、6600 XTくらいで良いと思いますが(自分のメインマシンがそうです)。
3年前に「dGPUとしてはRadeon RX 6000シリーズに期待」としていた私、見る目あったんじゃないですかね?
Vega iGPUが動く革命が起こる
2023年はモバイルHackintoshにとってのビッグニュースがありました。なんと絶対に無理と言われていたRyzen APUに載っているVega iGPUのアクセラレーションを有効化するNootedRedというkextが開発されました。というか私も「どうやってもmacOSで動かすことはできません」と言っていたのですが。
これはとんでもないことで、なにせiGPU頼りのラップトップはComet Lake世代、つまりCPU性能で言えば2016年のSkylakeから進歩がないラップトップに縛られていたところ、なんと当時最新のZen 3コアのラップトップでHackintoshできる可能性が開けたためです。
NootedRedは2023年2月時点ではまだSkylakeに対して優位性がないZen 1のRyzen 2000/3000 APUでしか動作しなかったのですが、5月についにRyzen 4000以降に対応しました。
また、当初Big Surでしか使えないとされていましたが、最終的にはCatalina〜最新のSonomaまでで利用できるようになりました。
かなり無理をして動かしている様子で、Intel iGPUに比べて挙動に不安定な点も見られますが、ある程度実用できるレベルにはなっています。
ということで、去年はVega iGPUのPCを買い漁ることになってしまい、随分お金が飛んでいきました。ThinkPad T14 Gen 2とX13 Gen 2を何故か両方買ってしまったり、Minisforum UM580を買ったりしました。X13 Gen 2はメインラップトップとして稼働しています。Minisforum製品は移り変わりが早いのでUM580はもう終売しちゃったんですよね。買っておいてよかった。
NootedRedは最終的にRDNA 2のAPUを動作させることまで目指しているようですが、最近は進展が無さそうなので実現する可能性は低いかもしれません。といっても、Zen 4 APUからはRDNA 3でこれは100%無理(パッチを当てる対象のドライバからして存在しない)で、RDNA 2 APUのRyzen 6000はCPUがRyzen 5000と同じZen 3なので、モバイル的には現状で行けるところまで行っている感はあります。
SonomaでBroadcom WiFiのサポートが切られる
Hackintoshにおいて重大だったニュースがこちら。Sonomaリリースで2017年以前のMacがサポート対象外になってしまったため、これらのMacに載っていたWiFiチップのドライバがSonomaから含まれなくなってしまいました。(それ以降のMac向けWiFiドライバで動くWiFiカードは存在していない)
2017年以前のMacが基本的には切り捨てられることはある程度予想されていたものの、ただ2021年まで販売され続けていたiMac (21.5-inch, 2017)はさすがに切られないだろう、と思われていたところバッサリいかれた結果WiFiサポートも切られてしまったので、これは予想外だったようです。
(2021年10月まで売られていたiMacが、4年後の2025年秋にはVenturaのサポートが切れてセキュリティアップデートが提供されなくなるので電子ゴミです。こんな会社にリサイクルがどうとかエコアピールしてほしくないですね。リサイクルの前にゴミを出すなよ。)
幸いOpenCore Legacy Patcherで対応できることと、Intel WiFiを動かすitlwmがSonomaにも追従したためまだWiFiを使い続けることはできますが、互換性は後退してしまいました。
Tiger 〜 Sonomaまで動作するHackintoshを組む
2023年は実用としてというよりは曲芸として色んなHackintosh構成を組むことを楽しんでいました。その一環で最初のIntel対応Mac OS XであるTigerから、最新のSonomaまで動作するHackintoshを組んでみました。組んでたら年越しちゃいましたけど。
https://github.com/b00t0x/MSI-Z97M-Hackintosh-every-macOS
きっかけとしてはOpenCore Legacy Patcherを触ったところGPUについてかなり古いハードウェアのサポートがあったので、古いGPUとそこそこ古いCPUの組み合わせでいけるかな?と思ったことです。
Core 2(Penryn)で同様のことをやっているケースは見ましたが、それよりは新しいHaswellで、かつ複数GPU差し替えといったゴリ押しに頼らず組めているのは唯一じゃないかな?と思っています。とまあ、良いニュースも悪いニュースもあった2023年のHackintoshでした。
2024年以降のHackintosh展望
ここからは予想ネタです。
macOSのIntelサポート期限
Mac Proがあの体たらくでApple Silicon化したことでIntel Macが本当に消滅し、いよいよいつかmacOSでIntel CPUがサポートされなくなる日へのカウントダウンが始まりました。
2020年8月に最後のIntel Mac(iMac)が発売され、Sonomaで2017年発売のMacのサポートが切られたことを考えると、単純に考えると2026年のmacOS 17からApple Silicon専用となり、2025年のmacOS 16が最後のIntelサポートという推測ができます。
ただ、もう少し悲観的に考えると、1つ前のVenturaでは2015・2016年発売のMacがごっそり切られたので、macOS 15で2018・2019年のMacをまとめて切る、あるいはmacOS 16で2019・2020年のIntel Macを切るといったことも起こり得ます。
なのでタイムラインとしては以下の2パターンでしょうか。
悲観的な方
- 2024年 macOS 15リリース(最後のIntel対応macOS)
- 2025年 macOS 16リリース(最初のIntel非対応macOS)
- 2026年 macOS 17リリース
- 2027年 macOS 15サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2027年 macOS 18リリース
楽観的な方
- 2025年 macOS 16リリース(最後のIntel対応macOS)
- 2026年 macOS 17リリース(最初のIntel非対応macOS)
- 2027年 macOS 18リリース
- 2028年 macOS 16サポート終了(最後のセキュリティアップデート)
- 2028年 macOS 19リリース
Apple Silicon移行の遅れにより、3年前の予想での楽観的パターンが今回の悲観的パターンになり、楽観的パターンは更に1年延びました。
幸い、macOSのPC向けOSとして進化は停滞しており、個人的にはBig Sur以降はiOS化する一方でPCでの使い勝手は一向に向上していない(特にVentura以降は控えめに言ってクソでは?)と感じているので、新しいmacOSが使えないことへの羨望は無いのですが、セキュリティアップデートが降ってこなくなるとさすがに実用できないのでここでおしまいです。
最終Hackintosh構成の再検討
これまた3年前に考えたネタのリフレッシュです。
今度は先にラップトップについて考えてみます。ラップトップはComet Lake / Ice Lake止まりだったところNootedRedによりRyzen 5000まで押し広げられました。
しかしながらこれ以降のラップトップはCPUと同時にiGPUもXe / RDNA 2~と更新されているので動かしようがありません。
NootedRedがRDNA 2に対応したらRyzen 6000までは動作する可能性がありますが、この世代あたりからWiFiにMediaTekのオンボードチップが採用されつつあり、これはHackintoshで動かないのでラップトップには致命的です。Ryzen 6000かつIntel WiFiあるいはM.2 2230で換装可能なモデルはほとんど無いと思っています(GPD WIN Max 2や、一部の中華ゲーミングPCくらい)。
とはいえ、3年前の時点では
- Kaby-R/Coffee/Comet 4c8t
- UHD 620/630
- Broadcom BCM94360 11ac
あたりが薄型モバイルHackintoshの終着点だと思っていたところ、
- Ryzen 5000 8c16t
- Vega iGPU
- Intel AX210 11ax
まで最終進化したなら上出来では無いでしょうか。vanilla AMD CPU、AMD APU、Intel WiFi、どれも無理と言われていたものが動いているのだから凄いことです。
続いてはもうちょっと自由度のあるデスクトップについて。
CPUに関しては当時「Alder Lake以降がパッチで動かせることに期待」と書いていましたが、実際Alder Lake用パッチは無事ProvideCurrentCpuInfoで実装され、あろうことかPコア・Eコア認識と制御はCpuTopologyRebuildとして自分で書くことで対応してしまいました。
Windows同等に性能が出るとは言わないまでも、ひとまず「Eコアのせいで遅くはならない」「Eコアが無いよりはあった方が性能が出る」くらいは実現できたのでまだまだ戦えそうです。
Raptor LakeはAlder Lake Refreshみたいなものなので特に問題はないとして、それ以降はどうでしょうか。Meteor LakeはEコアが2種類になったことが不安要素ですが、そもそもデスクトップに降りてこないらしいので、HackintoshではTiger Lakeを誰も気に留めなかったのと同様に気にしなくて良さそうです。
というわけでデスクトップ的には次はArrow Lakeです。Arrow LakeではHTが廃止されRentable Unitなるものが導入されるという噂があります。
単純にHT廃止なら特に問題はなさそうです。CpuTopologyRebuildではEコアをPコアのHT論理コアのように見せかける機能を実装しているので、同じように8P+16Eを8c24tのようにしてしまえばそれなりにちゃんとした挙動をしてくれそうです。
一方Rentable Unitがどうなるかはさっぱりわからないので不安要素です。ハードウェア制御とのことなのでmacOSが(当然)対応していなくてもそれなりに動いてくれるのが一番なのですが。Alderのようにせめてパッチを当てればWindowsほどでないにせよEコアが無いよりマシな性能は出る、であってほしいですね。
AMDに関しては予想通りZen 4でもmacOSを動作させられたので、こちらも引き続き追従されていきそうに思えます。
また、DDR5やPCIe 4.0 SSDなど、Intel Macになかったコンポーネントも特に問題なく動いているため、マザーボードも含めたCPU世代はそこまで問題にならないかも?
というわけで、CPUに関しては明確にどこからNGになりそうというものは今のところ見えていないので、最後までアップグレードし続けたいですね。ひとまずArrow Lakeでは組みたい。
dGPUに関してはもう先述の通りRDNA 2のRX 6000で打ち止めがほぼ確定です。RDNA 2が間に合ったのは救いでした。新品はいずれRDNA 3以降に置き換わってしまうので、これからHackintoshを組んだり、既存のHackintoshのアップグレードをしたいと思っている場合は何らか1枚抑えておいた方が良さそうです。
ちなみに、Mac ProにはNavi 21(6800/6900)とNavi 23(6600)しか採用されなかったため本来Navi 22(6700)は動作しないのですが、 NootedRedと同じ開発者によるNootRXによって動作するようです。Navi 24(6400/6500)も将来のターゲットに入っているようです。
逆に、macOSではGPU性能が必要な場面が少ないので、今使っている古めのGPUがいつまで引っ張れるかというのも気になるところかもしれません。最終搭載モデルで考えると以下のような感じ。
- RX 560~(Polaris 20) : Mac Pro 2019(2022年に選択不可に)
- Vega 56/64(Vega 10) : iMac 2019
- Radeon VII(Vega 20) : Mac Pro 2019
- RX 5700(Navi 10) : iMac 2020
- RX 5300/5500(Navi 14) : iMac 2020
- RX 6800/6900(Navi 21) : Mac Pro 2019(2021年から)
- RX 6600(Navi 23) : Mac Pro 2019(2022年から)
Navi 10/20のRDNA系GPUは最後までサポートされそう。PolarisとVegaは若干怪しいですが、まあMac Pro搭載GPUの中で細かく切ってくることはないんじゃないかなとは思うので大丈夫ですかね?
こちらはdGPUの話ではありますが、Ryzen APU的にはVegaのドライバーが必須なので無くならないでほしいところです。
iGPUに関しては以下のようになっています。
- Amber Lake : MacBook Air 2019
- Coffee Lake : MacBook Pro 2020(下位)
- Ice Lake : MacBook Pro 2020(上位)
Kaby Lake用ドライバ(Framebuffer)で動いているAmber Lakeは先にサポートが切られる可能性こそありますが、Skylake ~ Comet Lakeまでの世代はほとんど差異が無くCoffee LakeのFramebufferでも動作するので、特に問題は無いと思っています。
ということでGPUについては今後新規に使えるのもは出ないのは前提として、今(Sonomaで)動いているものはだいたい最後まで大丈夫かなと思っています。
オチが思いつかないので以上です。それではまた来年の答え合わせでお会いしましょう。
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