2016年6月11日土曜日

GPD WINとPyraを比較する

ド直球なタイトルで、GPD WINとDragonBox Pyraを比較してみたいと思います。

図らずも同じ2016年後半に発売されることになった2台のUMPC、もちろん互いに関係ないはずなのですが、ゲームパッド搭載超小型クラムシェルという共通する強烈な個性を持っています。

当然引きつけられるユーザー層も被っており、双方のコミュニティを見ているとどちらにもお互いの名前が散見されますし、双方に顔を出しているユーザーもちらほらと。特にマイナーな方のPyraではGPD WINを意識している人が多いように見受けられます。GPD WINに人が流れるとプロジェクトにとって死活問題になりかねないこともあるでしょうが。

そんなわけで、どちらを買おうか悩んでいる人もいるんじゃないかと思います。そんな人の参考になるかはわかりませんが、比較表を作ってあーだこーだ言っていこうと思います。

GPD WINPyraそれぞれの紹介で、ぐだぐだと文章を書き連ねスペックについて列挙しなかったのは今回のために温存しておいたのもあったりします(?)。

はい。優れている方を緑色にしています。できるだけモノの有無や数の大小など、客観的に比較できる要素に限定しているつもりです。項目の選び方がそもそも恣意的と言ってしまえばそれまでですが。

というわけで、大項目ごとに詳細を見ていきましょう。

性能


性能面では基本的にGPD WINの方が優れていると言っていいと思います。x86で動かせてARMで動かせないOS・ソフトウェアは実用上無いと言えますし、コア数・周波数・GPUもGPD WINの方が優れています。

アーキテクチャが異なるので本来周波数で単純比較はできないもののAtomとCortex-A15だとクロックあたり性能もAtomの方が高いと考えられます。

ARMの方が省電力性において優れている面はありますが、その点はバッテリーに反映される部分なのでそちらで考えます。

メモリに関しては、Pyraでも4GBが選択できるため同等と言っていいでしょう。Linuxのメモリ消費量を考えればPyraの4GBの方が余裕はありますが、GPD WINもLinux動かせますしね。

通信


通信に関しては、無線LANのac有無よりはやはりLTEの有無が大きいです。ついでにGPSが付いてくるのもモバイル機としてはポイント高いですし。

対応バンド的にLTEが日本、あるいは利用都市においてどれだけ実用になるかは未知数ですが、(特にドコモ回線が)過不足なく使えるようだと非常に強力です。なにせGPD WINを外で使うにはテザリング・モバイルルーター・USBドングルのどれかしらが必要になる一方、Pyraでは不要になるわけですから。

ディスプレイ


ディスプレイはどちらも720p・タッチ対応のため大差ありません。本体サイズの分だけGPD WINの方が大きいという形になります。720pではppiが高くかなり文字が小さいので、少しでも大きい方が有利ではあります。

タッチパネルについては、GPD WINが静電式、Pyraが感圧式です。現在主流なのは静電式ですが、このサイズともなると爪や細いスタイラスでタッチできる感圧式も便利な面があるため、一長一短ですね。

キーボード


キーボードについては、左寄りのGPD WINのレイアウトはマイナスという考え方もありますが、そういった使い勝手に関わる部分は実際に使ってみないとわからないところなので割愛しています。

Pyraは記号がほとんどFnキー併用になるため、キー数においてはGPD WINの方が有利となります。一方、Pyraはキーボードバックライトを搭載しているため、暗所では有利なのと、単純に高級感がありますよね。

ストレージ


内蔵eMMCについては、容量2倍のGPD WINの方が優秀ですね。ただし、Pyraの32GBはWindows用途では心許ない容量ですが、プリインストールされるDebianにとっては十分過ぎ、後述の拡張性も考えると実用上まったく問題はないと思います。

SDカードについてどう分けようか悩みましたが、GPD WINのMicroSDスロットとPyraのeMMC置換用内蔵MicroSDスロットは同等に扱えないので、外部/内部で分類しています。

外部SDとして考えると、MicroSDXC x1のGPD WINよりSDXC x2のPyraの方が遥かに拡張性が高いです。1枚にOS、1枚にデータといった使い方もできますし、音楽・動画もいくらでも詰め込めるでしょう。

また、GPD WINには無い内蔵MicroSDXCスロットも魅力的です。Linuxを使う上で、Pyraの32GB eMMCが容量面で不足になることは考えにくいですが、単純に内蔵eMMCのプリインストールDebianを削除せずMicroSDに別OSをインストールできるのは便利です。その場合、Debianはリカバリ、レスキュー用に保持しつつ、SDXCスロットは2つともデータ用に利用できるからです。

SDスロットの速度面に関しては、どちらもSDXC対応で内部eMMC接続だと思われスペック上に差異が無いことと、実際にベンチマークしなければ判断できないことなので割愛しています。

ポート類


ポート類に関して、MicroHDMIはどちらも同じため、違いはUSBということになります。

まずフルサイズUSB Type-Aについてですが、GPD WINは3.0 x1、Pyraは2.0 x2なので甲乙付けがたいですね。フルサイズUSB3.0は小型USBメモリを挿しっぱなしにするのに便利ですが、PyraはSDXCでカバーできますし

充電・OTG用途のポートとしては、最新のType-Cになっている分GPD WINが有利です。MicroUSB3.0はMicroUSB2.0とType-Cの狭間のような規格で、周辺機器がほとんどなく変換アダプタが必須になってしまっています。Type-Cも現在は同様の状況ですが、今後主流になる規格のため対応周辺機器は増えていくと思います。

片方のUSBをeSATAとして使えるのはPyraにしかない利点です。どう使いこなすかは難しいところですが・・・給電できるPower eSATAだと面白いんですけどね。

また、Pyraには充電(デバッグ)用に別途MicroUSBポートが付いており、充電中でもMicroUSB3.0ポートを塞がないのは便利ですね。

バッテリー


バッテリーは同容量ですが、SoCが省電力な分Pyraの方が駆動時間が長めです。現在省電力周りのチューニングが進んでいない状態で8時間は動作するようですので、かなり長持ちすると言えるでしょう。

また、取り外し可能になっており、予備を持ち歩いたりヘタったりした際に交換しやすいのはメリットです。この駆動時間だと予備が必要になることはまずなさそうですが。

GPD WINもドライバーで分解はできるようなので、電圧の合うバッテリーを調達できれば将来的な交換は自力でなんとかできそうではあります。

その他


その他分類できない部分をまとめてみました。

まず細かいところでは、入力インターフェースの違いとしてPyraのスティックはクリックができるようになっています。そのため、L1/L2・R1/R2をクリック以外の機能に割り当てられるため自由度が広がります。あるいは、L1/L2・R1/R2を左右クリックにしつつスティックのクリックで中ボタンを再現できるかも?

筐体サイズに関しては、3DS LLサイズのGPD WINより更に小さい3DSサイズのPyraの方が強烈ですね。厚みはPyraの方が1cm厚いので、完全にPyraの方が小さいわけではありませんが。

重さについては、意外なことに大きいGPD WINの方が軽量です。PyraはSDXCスロットや着脱式バッテリーなどを盛り込んだことで重量(と厚み)が増えているようです。

GPD WINは想定重量、Pyraは軽量化前プロトタイプの重量なので、GPD WINがより重く、Pyraがより軽くなる可能性は高いですがそれでも逆転はしない差があります。

最後に価格ですが、GPD WINの方が圧倒的に安いですね。現状でも39,800円・$330でプレオーダーできるため、4GB・LTE無し仕様が送料別€530のPyraは送料込みでGPD WINの2倍近い価格になる可能性があります。これに関しては、Pyraの方がより小ロット生産が見込まれることや、盛り込んだ機能的に高級路線であることを考えると仕方無いと思います。むしろGPD WINが安すぎます。

まとめ


これまでの項目をまとめたのがこの表になります。全体を通して見ると11vs11で互角ですね!た、たまたまですよ互角になったのは。

これらを踏まえて、もしどちらか一台だけ買うとしたら、やはりGPD WINになるんじゃないかと思います。「GPD WINでもできるけどPyraの方がうまくできる」ことはかなり多いと思いますが、一方「Pyraにしかできないこと」は内蔵LTEくらいで、逆に「GPD WINにしかできないこと」にはWindows、CPU能力を必要とする作業など結構重要なものがあるからです。

ただ、所有する満足感を得られるのがどちらかというと難しい気がします。「Windowsが動く小型UMPC=GPD WIN」に魅力を感じるか、「なんでもできる最小の超小型UMPC=Pyra」に魅力を感じるかの価値観で分かれてきそうです。こればかりは自分でも両方を所有してはじめてわかるのかもしれません。

比較するだけしておいてなんですが、単独の製品として(UMPCオタク視点で)見た時どちらも非常に魅力的な製品であることは間違いないです。一長一短あるからこそ、余裕があるならどっちも買うことをオススメしたいです。

2 件のコメント:

  1. 数年前のUMPCの記事からちょくちょく読ませてもらってます。
    一人のUMPCファンとしては今回のGPD WINとPyraが出てきたことは素晴らしいと感じています。

    GPD WIN or Pyraというのは悩ましい問題ですね。
    (UMPCの新機種のどれを買うかで「迷える」というのは、ここ数年ではありえない状況で、とても幸せなことでもありますが・・・)

    私としては「GPD WINはLinuxを動かす環境は作れる(かもしれない)けど、逆のPyraではWindowsをデュアルブートすることはありえない」というのもGPDを選ぶ理由でした。

    今後もUMPCの記事を楽しみにしています。

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  2. なんと、そんな以前から読んでいただいているとは・・・ありがとうございます。

    確かに、選択肢が1つしか無い、あるいはまったく無く今持っている古い機種をなんとか使い続けるしかなかった頃と比べると、贅沢な悩みかもしれないですね。

    GPD WINはMicroSDブートも対応している(とGPDは主張している)ので、Linux環境も構築してみたいところです。

    GPD WINが結構人気になっているとはいえニッチな製品ジャンルですので、これからも細々と情報発信できていければと思っています。

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