2016/07/09

GPD WINニュース - まさかのAtom x7搭載


感動のあまりGPDロゴが神々しく見えますね?

というわけで、GPDから衝撃のニュース。やれx5-Z8500だZ8550が供給されないだの言っていたのを遥かに通り越して、x7-Z8700またはZ8750を採用することにしたとのことです。マジか。マジか。2回言っちゃいますよびっくりしすぎて。

トップの写真は、中国でGPD WINプロトタイプが届いた人によるものなんですが、その情報はすっ飛ばして今回はCPUの話だけです。

あらまし


何はともあれ抜粋も面倒なんで全文載せちゃいますね?
Dear Backer:
This is a really good news.
As the Intel was canceled Atom series chip,The next generation is Apollo lake,
Performance will be optimized, but the power consumption should be more heavy.We think this series chip will no longer suitable for portable devices.
So we may probably stop the GPD WIN 2.....
And we really hope can make the first generation products to be the best one. Also after multiple performance contrast,We found the performance of Z8700 is much improved compared to the Z8500.
So as many backers expect,we final decided to update the Z8550 into Z8700-Z8750. When mass production,If we can find a suitable supply for Z8750, we will use Z8750.If not,we will use Z8700.
It must be a really good news for your guys.right?
Really thanks for your support again!!
最初の段はIntelのAtom撤退に関する話です。Atomの後継(恐らくBroxton)がキャンセルされて代わりに(Braswell後継の)Apollo Lakeが出るけれど、(安価NUC・2in1向けのCeleron / Pentiumにあたるこれは)消費電力が大きく採用できないため、恐らく次世代のGPD WIN 2の計画は中止することになるだろうという話。

これについては改めて説明されるまでもなく理解していました(この記事の「GPD WINの将来性」あたり)。だからこそ「多分次は無いから今買うしかない!」と宣言していたわけです。

次期モデルが望めないから、せめて最新ステッピングのx5-Z8550が載ればいいなと思っていたわけですが・・・

GPD WIN 2を出せないという状況を踏まえGPDが下した決断は、「最初(にして最後の)製品を最高の製品にする」ことで、Z8500より(当然ながら)性能面で優れているZ8700またはZ8750を採用するということでした。

(恐らくZ8550と同様に) Z8750にも供給問題があるため、供給元を見つけられればZ8750、ダメだったらZ8700を採用するとしています。

ここまでが現時点で明らかにされている情報です。
ここから先はまたねっとりと考察していきたいと思います。


x5-Z8500と何が違うのか?


クロックとGPUコア(EU)数が違います。

CPUについては、ベースクロックで言えばx5-Z8500の1.44GHzに対しx7が1.6GHz、ブーストクロックについては2.24GHzのx5-Z8500に対しx7-Z8700が2.4GHzで、x7-Z8750が2.56GHzです。ちなみにZ8550は2.4GHzでZ8700と同じです。

ブーストクロックで見ると、Z8500→Z8550 / Z8700のゲインが7%であるのに対し、Z8750になると14%なのでかなりバカにならない差になってきます。Z8750だとかなり嬉しいですね。

もっと差があるのがGPUです。単純にEU数がx5の12からx7では16に増えています。これはZ8x50世代でも変化ないので、x5とx7の決定的な違いです。

GPUクロックは同じなので差はEU数のみになります。メモリなど足回りの問題もあるため、単純計算で16/12→性能33%アップ、とはならないようですがCPU以上の差は確実に出るでしょう。

それ以外の部分(最大解像度・外部出力数・ポート数・メモリ速度など)は変わりません。発熱の目安であるSDPも変化ありませんが、実測では結構違いがありそうです(後述)。


Z8700?Z8750?


次に気になる点はx7-Z8700になるか、Z8750になるかです。

Z8700に関しては、MicrosoftのSurface 3に採用されている=GPD WINと比較にならない量が現在も製造、出荷されているということなので、まず供給面で問題が起こるとは考えにくいです。

ただ、懸念点としてそのSurface 3が年内に生産終了とアナウンスされていることです。無印SurfaceシリーズもAtom終息問題で後継機が出ないと考えられるため、単なるシリーズ終息だとは思いますが、年内という時期がIntelのZ8700供給終了時期だとすると問題です。その場合、GPD WINは発売こそされますがその販売期間はかなり短いものになってしまうことが予想されます(x5-Z8500でも同様の問題は考えられますが)。

Z8750に関しては、Z8550と同様の「ラインナップはされるが供給されない」という問題が発生する可能性があります。というより、可能性が高いからこそ「供給元が見つかるならZ8750採用」という表現になっています。

現在確認できるところだと、Z8550に関してはPanasonicからタフブック(タフパッド)が、Z8750についてはNECからタブレットが発売されています。つまりどちらも出荷ゼロのCPUではないので、採用できる可能性はあります。

この2機種だけで考えると、コンシューマー製品でもあるNECのLavie Wの方が数が出る=CPUが量産される気がするので、Z8550よりはZ8750の方が可能性が高いかも?と感じています。
タフブックシリーズ全体の年産台数が7万台であることを考えると、Z8550のタフブックはGPD WINと同等かヘタするとそれ未満のニッチさなので、ワンロット作りきりで市場にZ8550が流れてこないケースがあるんじゃないかと思います)

更に言うと、NECのLavie WはThinkPad 10のNEC版なので、ThinkPad 10もZ8750に更新されれば確実かつ長期に渡って安定供給されると言えるはずです(まだ出てないようですが)。

個人的には、ここまできたら何としてでもZ8750にして極めていただきたい・・・!


冷却問題


さて、Atom x7になって避けて通れないのは冷却に関する疑問です。

というのも、Atom x7はx5と同じSDPながらより熱いと一般的に言われています。恐らく、クロック差ではなく増加したEU分だけ発熱が大きいんじゃないかと思います。

同じ筐体でx5モデルとx7モデルのある製品が無いため正確にはわかりませんが、GPD自身が当初のZ8700搭載リクエストに対して「排熱が難しく、冷却機構がコスト高になり厚みも増すので採用できない」とコメントしているので熱いのは少なくとも事実のはずです。

個人的な経験で言うと、x5-Z8500のXiaomi Mi Pad 2とx7-Z8700のVOYO V3を所有していますが、Mi Pad 2で熱すぎると感じたりダウンクロックで重くなったりした経験はありませんが、V3は高負荷時触ってられないくらい熱いです。

ただ、これについてはフェアな比較ではないと思っていて、単純にV3の設計がまずいだけじゃないかと感じています。というのも、この2台の発熱差はCPUの違いというレベルじゃないほどあり、むしろCPUが原因ではないと思えるからです。失礼な言い方ですが、メーカーとしての実力差から言ってもハイエンドスマホを開発して大量に売っているXiaomiの方が開発力が高いんじゃないかとも思います。

ともあれ、GPDが当初「排熱が難しい」とコメントしていた以上、当然「冷やせるのか?」という疑問が浮かびます。スペック上の差異がないZ8700についてこのようにコメントしていたということは、当時GPDはZ8700もテストした上で採用を見送っていたはずです。それを一転して採用することにした(技術的な)理由はまだわかっていません。

思いつくところとしては、
  1. 初期基板でのテスト時は無理という判断だったが、完成したプロトタイプに載せてみたら案外冷やせた
  2. コスト高を覚悟で、銅板・ヒートパイプ等の冷却機構を搭載する
  3. プロトタイプでテストしたらそもそもZ8500でも高負荷時のダウンクロックが避けられなかったので、であればダウンクロック前の性能が高いZ8700を採用した
このあたりでしょうか。3. だとは思いたくないですが。

2. の可能性については、目標を遥かに超える出資額が集まったのである程度のコストアップは許容できると考えられます。元々の想定売価を$499・55,000円としているのでそれでもまだ利益を出せるはずで、x7搭載による売上向上で回収できると見込んでいるかもしれません。

ただ、最終版プロトタイプが完成している現状だと筐体サイズ(厚み)に影響が出るほどの変更は加えられないと思うので、小規模な変更で冷やせる必要はあります。

1. は最も楽観的なケースですが、Z8500の時点で「冷やせるのか?」という出資者からのツッコミが出まくっていたのでそううまくはいかない気がします・・・

ちなみに「UEFIレベルでダウンクロックして冷やせるようにする」というのは、発熱の主因がクロックではなくEU数と考えられる以上効果が見込めないので無いと思っています。


最初で最後のGPD WIN?


最後に気になるのが、「アップグレード版は出るのか?」ということです。筐体レベルで一新されたGPD WIN 2が出ないことはほぼ確定的になりましたが、一方売れ行き次第では8GB・128GB版を検討するという過去のコメントもありました。

しかし、ここでアップグレード版が存在したとき一番のトピックになるであろうx7の搭載を初期モデルから表明したことで、アップグレード版の登場可能性が薄まった気がします。

個人的には、まず初期出資者としてGPD WINをどんなスペックであれ確保して、将来アップグレード版が出たらそれも追加で出資あるいは購入、と考えていました。そしてもしアップグレード版が出ないなら初期版=最終版を買い増すつもりでいました。

いずれにせよ、2台買うつもりではあるのですが、Atomの供給問題によりいつまで販売されるかわからないハードになってしまったので、アップグレード版、あるいは別カラー版の有無については早めに確認したいところです。

唯一無二のハードウェアなので、1台しか確保できなかった上に壊す、などということはなんとしてでも避けなければいけません(個人的にはね)。最悪見切り発車でもう1台買ってアップグレード版や色違いが出たら3台目を買うことすら視野に入れています。


心の叫び


たかだかCPUが変更になっただけでこの長さの記事です。私は一体なにを考えているんでしょうか

しかし、今日のニュースは単にCPUが変わっただけ以上に感銘を受けたことがあります。それはこの製品に対するGPDの姿勢・思い入れです。

GPDは今回「技術的にいけそうだから」「より売れそうだから」x7にした、という話をしていません。「GPD WIN 2を出せず、GPD WINが最初で最後の世代になるから最高のものにしたい」という理由でx7の採用をアナウンスしています。

GPD WINが一代限りになる危惧、だからこそ最大限応援したい気持ちは最初にGPD WINについて書いたときに延々書きました。ですので、一代限りになることを踏まえた上で、次が無いからこそ妥協の無い製品に仕上げようという姿勢には、笑われるかもしれませんが正直言ってかなり感動しました。

自分がまさに「一代限りのUMPC、5年10年と使う覚悟で、僅かな(Z8500とZ8550程度の)違いであっても少しでも良いモノが欲しい」と思っていたところで、それを酌み取るかのようにAtom終息と絡めてCPUのアップグレードをアナウンスしてくれたわけですから。

そして、当初から
And we all have a dream to make a portable handheld PC/Gaming consoles based on Windows system.
我々はWindowsベースのハンドヘルドPC・ゲーム機を作りたいと思っていた
No matter the found raise is succeed or not. we will be surely complete this perfect device!!!
クラウドファンディングの成否に関わらず、必ずやこの製品を完成させる
と言っていたところからも、UMPCへの強いこだわり、想いが見えます。バカみたいですが自分と同じ(そして世間的には受け入れられない)想いを共有している気分になれて嬉しいんです。

これだけ書いておいて、いざ届いたら凄い駄作かもしれません。ボタンがガタガタで使い物にならないかもしれません。排熱できなくて熱くて遅い代物かもしれません。ですが、これだけの理念を持って妥協無く作る製品は素晴らしいものになるはずと信じて、これからも楽しみにGPD WINを待ちたいと思います。

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